研究課題
本研究では、地球磁気圏におけるpoloidal ULF波動がリングカレントの粒子に与える影響の定量的評価を目的としている。本年度は、あらせ衛星とVan Allen Probes衛星の共同観測の機会を利用し、観測されたpoloidal ULF波動の性質とリングカレント粒子(陽子)の動径方向の分布関数の変化を明らかにした。あらせ衛星がpoloidal ULF波動を観測した後、あらせ衛星の通過した領域における陽子の分布関数の動径方向分布を、Van Allen Probe Bが1.5時間後に観測した事例を見出した。この事例は、本研究で初年度に発見された~10 keV程度の陽子による東向き伝搬するpoloidal ULF波動の励起であり、この現象が一般に観測されることを示すものである。さらに、東向き伝搬するpoloidal ULF波動の励起に特有な、地球方向への粒子拡散を示唆していた。また、その変動の空間スケールやエネルギー変動について定量的な見積もりを与えており、ULF波動による動径方向の共鳴粒子拡散について、独自に見出した現象から新たな定量的評価を与えるものである。以上の内容をIAGA-IASPEI2021学会で発表予定である。本研究では、上述のイオンの動径拡散に加えて、相対論的電子の拡散に関係する波動の解析も進めている。それまで統計的な調査が不足していた高調波構造を持つtoroidal ULF波動の統計的な解析を行い、その太陽風依存性を明らかにした。これにより、様々な太陽風変動や磁気圏擾乱の状態において、相対論的電子の変動におけるULF波動が担う役割について一層の理解が進むことが期待される。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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