研究課題
本研究ではピューロマイシンを利用し翻訳一時停止状態にあるリボソームのみを解析できる新規リボソームプロファイリング法を考案した。結果、大腸菌遺伝子において1000箇所以上の翻訳一時停止位置を特定することに成功した。また、翻訳停止位置は終止コドンに集中していたが、今回考案した新規手法では、リボソームが実際に翻訳停止しているか、あるいは翻訳終結後のリサイクリング反応を待っている状態なのか判別することが困難であった。そこで高塩濃度で大腸菌ライセートを処理し、リサイクリング待機状態のリボソームをmRNA上から解離させる手法を組み合わせ再度解析を行なったところ実際に終止コドン上で翻訳停止を生じていたのは237箇所中59箇所であることが明らかとなった。さらに今回新規に特定した翻訳一時停止遺伝子群を試験管内タンパク質合成系によって大腸菌タンパク質の凝集の度合い(可溶率)をまとめたデータベースと比較した。すると、翻訳一時停止を生じる遺伝子群は可溶率が低いものが多かった。また、これらのタンパク質は、新生タンパク質の立体構造形成を促進するシャペロンを加えると可溶率が上昇することもわかった。
2: おおむね順調に進展している
本研究では、大腸菌遺伝子において1000箇所以上の翻訳一時停止位置を特定することに成功した。さらに今回新規に特定した翻訳一時停止遺伝子群の翻訳一時停止と翻訳共役的なフォールディングの関係性を見いだすことができたため。
今後は、実際に翻訳の一時停止現象が新生鎖とシャペロンの相互作用する確率を高め、新生鎖のフォールディングを促進しているか、生化学とバイオインフォマティクスの手法を組み合わせ検証する予定である。
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Plant and Cell Physiology
巻: 61 ページ: 536~545
10.1093/pcp/pcz219
巻: 60 ページ: 1917~1926
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