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2019 年度 実績報告書

化学層序と堆積年代に基づく超高濃度レアアース泥の生成機構および分布の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19J14560
研究機関東京大学

研究代表者

見邨 和英  東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2021-03-31
キーワード海底資源 / レアアース泥 / 化石層序 / イクチオリス / 機械学習 / 古環境 / 地球科学
研究実績の概要

本研究は,新しいレアアース資源として注目を集めている深海堆積物「レアアース泥」について,その化学組成と堆積年代に着目して,「いつ・どこで・なぜ」資源が生成したのかを解明するとともに,重点的な探査を行うべき有望海域を明らかにすることを目的としている.
本研究について2019年度は,効率的なレアアース泥の堆積年代決定手法の開発を行った.これまでの研究から,レアアース泥中に豊富に含まれている魚類の歯や鱗の微化石「イクチオリス」が年代決定に有効であることが示されているが,化石の収集と観察に時間を要することが,多数のサンプルで網羅的に年代決定を行う上で大きな制約になっていた.そこで,イクチオリスの粒径や密度が他の鉱物と異なることに着目し,堆積物試料からイクチオリスを効果的に濃集する手法を確立した.さらに,濃集させた大量のイクチオリスを効率よく観察するため,粒子を封入したスライドガラスをスライドスキャナーによって画像化し,この画像から機械学習によってイクチオリスを自動で探し出す手法の検討を行った.2020年4月現在は,試験的な機械学習モデルの構築まで完了しており,人間の手作業をはるかに上回る数の化石観察ができることが明らかになりつつある.
これに加えて,これまでに得られている,南北太平洋の8本の深海掘削コアの化学組成および堆積年代についての情報を整理し,これらのコアで普遍的に見られる化学組成変化とその要因について検討を行った.その結果,全てのコアにおいて,堆積物は化学組成の特徴から3層に分類することができ,さらにその3層の移り変わりは新生代 (現在から約6,600万年前までを指す地質時代) のグローバルで長期的な地球環境の変化を反映していることが示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

上記の効率的な化石観察手法の開発によって,多数のサンプルで高精度な年代決定を行うための準備が概ね整った.このような化石の物性に着目した化石収集技術や機械学習を活用した観察は,研究計画時には期待していなかった成果であり,本研究で扱うイクチオリスのみならず,様々な微化石の研究に応用できる可能性がある.なお,この成果は2020年に開催されるJpGU-AGU Joint Meeting 2020にて発表を予定している.
さらに2019年度には,これまでの研究成果についての筆頭論文1本が査読付きの国際誌に掲載されたほか,国内外の学会にて計3回の研究発表を行っており,研究成果の公表についても順調であるといえる.

今後の研究の推進方策

まず,機械学習の訓練に用いるイクチオリスの画像データを拡充し,イクチオリス検出モデルの高精度化を行う.並行して,上記の効率的な化石観察手法を用いた網羅的な化石観察を行い,研究対象としている太平洋における8本の深海掘削コアについて,これまでに得られている堆積年代を高精度化する.これにより得られる堆積年代に関する知見と,これまでの研究から得られた化学組成に関する知見を統合し,太平洋の堆積物コアで共通してみられる堆積層の移り変わりが,どのような地球環境変動と関連しているかについてより高解像度な議論を行う.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Chemostratigraphy of deep-sea sediments in the western North Pacific Ocean: Implications for genesis of mud highly enriched in rare-earth elements and yttrium2020

    • 著者名/発表者名
      Tanaka Erika、Nakamura Kentaro、Yasukawa Kazutaka、Mimura Kazuhide、Fujinaga Koichiro、Iijima Koichi、Nozaki Tatsuo、Kato Yasuhiro
    • 雑誌名

      Ore Geology Reviews

      巻: 119 ページ: -

    • DOI

      10.1016/j.oregeorev.2020.103392

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Significant impacts of pelagic clay on average chemical composition of subducting sediments: New insights from discovery of extremely rare-earth elements and yttrium-rich mud at Ocean Drilling Program Site 1149 in the western North Pacific Ocean2019

    • 著者名/発表者名
      Mimura Kazuhide、Nakamura Kentaro、Yasukawa Kazutaka、Machida Shiki、Ohta Junichiro、Fujinaga Koichiro、Kato Yasuhiro
    • 雑誌名

      Journal of Asian Earth Sciences

      巻: 186 ページ: -

    • DOI

      10.1016/j.jseaes.2019.104059

    • 査読あり
  • [学会発表] レアアース泥の年代決定に向けたイクチオリス層序の検討2019

    • 著者名/発表者名
      見邨和英,三鍋秀悟,中村謙太郎,安川和孝,大田隼一郎,藤永公一郎,町田嗣樹,加藤泰浩
    • 学会等名
      日本地質学会第126年学術大会
  • [学会発表] DSDP/ODPの遠洋性粘土コアに記録された北太平洋における新生代の環境変動2019

    • 著者名/発表者名
      見邨和英,山本克志,中村謙太郎,安川和孝,大田隼一郎,藤永公一郎,町田嗣樹,臼井洋一,加藤泰浩
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2019年大会
    • 国際学会
  • [学会発表] Origin of REY-rich mud in the North Pacific Ocean constrained from bulk geochemistry and depositional age.2019

    • 著者名/発表者名
      Mimura, K., Yamamoto, K., Nakamura, K., Yasukawa, K., Ohta, J., Fujinaga, K., Machida, S., Usui, Y. and Kato, Y.
    • 学会等名
      Goldschmidt 2019

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公開日: 2021-01-27  

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