研究課題
発光材料と電解質からなり、簡便に作成可能な発光素子である電気化学発光セル(LEC)において、1.パルス電圧測定系における分布帰還型共振器(DFB)構造を導入したLECの評価と2.顕微ラマン分光法を用いたLECの素子特性評価、そして3.様々な発光ポリマー試料を用いたLECの作製・評価の3点に取り組んだ。1について、基板上へ電極を蒸着し、電極間へDFB構造を導入した。その後基板上へ発光ポリマーF8T2とイオン液体の混合薄膜を成膜することで、面内型のLECを作製した。光励起光を評価すると、電極間においてレーザー発振に特徴的な発光スペクトルの先鋭化と強度増大を観測した。次に電流励起光の評価を試みると、F8T2のバンドギャップに相当する電圧(2.8V)にて、DFB構造による効果を示唆する発光スペクトルの先鋭化を観測した。しかし、レーザー発振は観測されなかった。この時、4V以上において電流密度が増大していないことに着目し、パルス駆動(0.5ms)による電圧印加(3-30V)を試みると、電流密度の増大が観測された。より短パルス・高電圧による駆動方法を導入しつつ、素子へ伸縮性を導入することで、今後世界初のLECによる波長可変レーザー発振が期待される。2について、LECを顕微ラマン分光法によって評価し、詳細な駆動原理の理解を試みた。電圧印加時における電極間のラマン分光特性を評価することで、空間的なキャリアドーピング濃度分布の評価に成功した。3について、フルオレン系ポリマーPIFL-BTや、ドナーアクセプター型ポリマーPTII-DTなどを用いてはじめてLECを作製した。さらに、電圧印加による発光を観測し、試料がLECへ適用可能であることを示した。以上から、LECに対し、構造制御や顕微分光法、様々な発光材料の適用により、機能性発光デバイス開発や駆動原理の解明、材料開拓の可能性を見出した。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Advanced Functional Materials
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