研究課題/領域番号 |
19J14891
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 広太郎 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | ジュゴン / 音響観察 / 海洋保護区 / 沿岸域 / 船舶航行 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
計画書に記載していたジュゴンの摂餌音に加えて鳴音と船舶音を重点的に観察することとし、摂餌場だけでなくジュゴン生息海域の大部分において現地住民とジュゴンの海域利用特性を明らかにすることを目指した。前年度に開発した対象音検出・分類手法を用いて、ジュゴンの発声行動と船舶航行を検出し、それらの観察頻度について時空間的パターンを調べた。船舶については、記録された音から船舶種の分類も行った。前年度に検討した手法に加え、船舶イベントの持続時間も特徴量として抽出し分類に利用することで、90.3%の正解率で分類を行うことができたうえ、ある地点における船舶航行時間の内訳を調べることができた。今年度新たに乾季にとられたデータに関する解析結果から、発声ジュゴンの空間分布は乾季・雨季ともにおおむね共通していること、観察された鳴音は雨季のほうが多いこと、船舶航行は乾季のほうが活発であること、などが分かった。また、5分間の時間窓における鳴音のあり/なしを音響的存在確率と定義してジュゴンの海域利用の一部を示す指標とし、統計モデルを用いて時間や環境要因との関係を調べた。その結果、同一海域内でも音響的存在確率の時間変化や関連する環境要因が観察地点間で異なっていた。以上から、保護努力分配の優先順位を検討する際には、詳細なスケールで観察を行った上で海域利用特性を議論する必要があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの影響で思うように海外フィールド調査が実施できない中でも、これまでに取得したデータの解析に注力すると同時に、成果が得られ次第論文執筆や学会発表を行うなど、前向きな姿勢で進捗を生み出せるよう努力した。2020年度の研究成果として、主著論文受理1報(Acoustics Australia誌)、査読中1報(Bioacoustics誌)、共著掲載済み1報、共著投稿済み(査読中)1報、学会口頭発表2報を行った。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに取得したデータの解析と、その成果に関する論文執筆を進める。具体的な内容としては、船舶音による航行船舶の検出・分類手法の確立と、統計モデルを用いたジュゴンの生息地利用の推定についての結果をまとめる。研究室の同グループが他の視点から取得した知見、すなわちジュゴンの摂餌痕分布や地域住民の漁労実態などの知見と組み合わせることで、ジュゴン保護区の適切なマネジメントにむけた検討を行う。
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