研究課題
本研究は、一過性および継続的な運動前後における足底腱膜の形態的・力学的特性の定量評価を通じて、足底腱膜の可塑性や足部のバネ機能・身体運動パフォーマンスとの関連に迫ることを目的としている。当該年度は予定を一部変更し、以下の3つの研究を実施した。1)足底腱膜の形態的・力学的特性の定量評価における足関節・中足趾節関節角度変化の影響を検証した。足関節・中足趾節関節の受動背屈に伴い、足底腱膜長は最大で8%程度伸長し、スティフネスは非線形な変化を示し(つま先領域)、その後は直線的な変化(線形領域)を示した。また、足底腱膜のスティフネスと受動的な足関節角度変化に伴う足部アーチの角度変化は負相関 (足底腱膜が硬いほど足部アーチの変形が小さい)を示した。2)三次元動作解析手法を用いて片脚跳躍動作中の足部アーチ変形を定量評価し、足底腱膜の形態的・力学的特性との関連性を検証した。その結果、足底腱膜のスティフネスは跳躍中のアーチ角度の最大値と負相関 (足底腱膜が硬いほど足部アーチの変形が小さい) を示した。3)足関節・中足趾節関節背屈による5分間の静的ストレッチングが足底腱膜の形態的・力学的特性に及ぼす影響と片脚跳躍動作中の足部アーチ変形および跳躍パフォーマンスの変化との関連性を検証した。ストレッチング後、足底腱膜のスティフネスは一過的に低下、足部アーチの変形は増大、跳躍パフォーマンスは低下した。ストレッチング前後の足底腱膜のスティフネスの変化率は足部アーチの変形・パフォーマンス変化率と相関関係を示した。これらの取り組みにより、足底腱膜の形態的・力学的特性が部位特異性や関節角度依存性を有することに加え、受動的・動的な足部アーチ変形が足底腱膜の力学的特性に依存すること、一過性および継続的な身体運動の実施に適応し変化する可塑性を有することが明らかとなった。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Applied Physiology
巻: 130 ページ: 390~399
10.1152/japplphysiol.00485.2020
Journal of Training Science for Exercise and Sport
巻: 32 ページ: 209~216