研究課題
本年度はまず、ササウシノシタ不飽和化酵素遺伝子におけるゲノム編集の成否を検出する系の構築を行った。これにより、ゲノム編集領域に設計したプライマーと、鋳型とプライマーのわずかなミスマッチを識別可能なDNA合成酵素を用いることにより、野生型またはゲノム編集型DNAをそれぞれ効率よく特異的に増幅することが可能になった。次に、昨年度に設計したgRNAおよびドナーDNAを様々な組合せで使用し、ササウシノシタのCRISPR/Cas9システム顕微注入胚2652個を作成し、これらを着底するまで飼育した。その後、死亡個体の魚体と生存個体の尾鰭断片からゲノムDNAを抽出し、先の検出系に供した結果、複数の死亡個体と1尾の生残個体において、ゲノム編集型特異的な増幅産物が検出された。この産物をクローニングし、塩基配列を決定したところ、目的の塩基置換が正確に導入されていることが確認されたことから、改変型不飽和化酵素遺伝子をもつササウシノシタのファウンダー個体を作出することに成功したことが明らかになった。また、昨年度に館山ステーションへ輸送し飼育を開始したササウシノシタ野生型集団の一部に対し、日長・水温コントロールによる人為催熟を行うことにより、本来の産卵期外に受精卵を生産することに成功した。さらに、ワムシやアルテミアの培養餌料を検討し、これらを与えて飼育した仔稚魚の粗脂肪含量や脂肪酸組成を分析する実験系の動作をゼブラフィッシュを用いて確認した。本年度に作出されたファウンダー個体は年度内に成熟可能なサイズに達しておらず、F1世代の作出やその給餌試験には至らなかったものの、これを実際に作出し、養成・催熟・系統化したのちに表現型を解析するための技術基盤が整備された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Aquaculture
巻: 533 ページ: 736096~736096
10.1016/j.aquaculture.2020.736096
Communications Biology
巻: 3 ページ: 1~9
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