研究実績の概要 |
ウイルスの多様性およびその宿主細菌を探索するため、琵琶湖湖水を用いたメタゲノム解析を実施した。2019年の4月から2019年の12月にかけて、表水層と深水層の湖水を9ヶ月、月に一度採水した。2018年9月から採水した水試料と合わせると、一年を通して、水深を考慮した季節変動を追跡できる貴重なサンプルを手に入れることができた。これら全てのサンプルに対して、細菌画分(0.2-2μm)およびウイルス画分(< 0.2μm)のDNA抽出を完了した。そのうち、2018年9月から2019年4月までの12サンプル(表水層6サンプル+深水層6サンプル)のウイルスメタゲノム解析を実施した。 12のサンプル(表層6ヶ月、深層6ヶ月)から302の完全長ウイルスゲノムと10,185のウイルスゲノムの断片を得ることができた。これらについて、同種の冗長性を排除するため、塩基配列相同性95%でクラスタリングを行った結果、172の完全長ウイルスゲノムおよび3,626のウイルスゲノムの断片にクラスタリングすることができた。さらに得られたウイルスゲノムの宿主細菌の探索を実施したところ、12のウイルスゲノムについて宿主細菌(Actinobacteria: 9種、Betaproteobacteria: 2種、Bacteroides: 1種)を推定することができた。現在、宿主CRISPRスペーサー領域およびtRNA領域を対象として、さらなる宿主細菌の推定を行っている。今後は、DNA抽出まで完了している残りのサンプルについてもビローム解析を実施し、1年を通じたウイルス多様性および季節変動を明らかにする予定である。
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