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2019 年度 実績報告書

撮像系と情報処理の高度な融合による光学現象の多元同時撮影

研究課題

研究課題/領域番号 19J14999
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

北野 和哉  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2021-03-31
キーワード分光計測 / 超解像 / コンピュータビジョン
研究実績の概要

時間と波長の同時計測は幅広い分野でされており,バイオサイエンスや化学の分野では,複雑で高価な光学系によって時間や波長などの高次元な光の情報を計測していた.しかしながら,これらの計測には時間や金額面で大きなコストが必要になる.一方,情報系では,計算処理によってRGB 画像から光学現象の解析を行っていた. しかしながら,光学現象の解析には時間や波長などの詳細な情報が必要なために縮退した情報では不十分である.本研究では,複雑で高価な装置を用いて行われてきた高次元な光計測をハードウェアとソフトウェアの協調設計によって再構築し,光学系・電子回路・計算処理の工夫によって簡易なハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実現することが目的である.
本研究の初年度は,時間軸の計測と組み合わせて使用可能な波長軸の計測方法とそのキャリブレーション方法について研究を行った.従来の分光計測では,空間と波長の分解能を柔軟に変更することが困難である.また,装置の制約として波長分解能や計測範囲,信号雑音比のいずれかが犠牲となる.その場合,計測対象に合わせて分光器を用意する必要があるために非合理的である.本研究では,分光分布を超解像することによって計測装置の制約を解消し,柔軟な分解能の調節が可能な計測系を提案した.また,実際に分光器を実装し,その有効性を示した.光学系や撮像素子によって計測される分光分布がぼけるが,ボケ関数を波長ごとに計測する事は困難である.そこで,本研究ではスパースな輝線の分光分布を用いて密なボケ関数を推定する方法を提案し,実際の分光計測においてボケ関数の推定が有効に機能することを確認した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は,主に撮像系と計算処理の融合による分光計測法の検討と実装が目的であった.当初はカラーフィルターや光源の波長を工夫することによって実現する予定であったが,どちらの方法も高分解能な計測が困難であり,広い計測範囲の計測が難しい事が判明した.そこで,超解像を用いたアプローチに変更することによって時間軸との計測に組み合わせる事が可能な分光計測を実現した.よって,当初の目的をおおむね達成した.

今後の研究の推進方策

前年度までに行った時間的な応答と波長的な応答の計測方法を組み合わせ,物体が示す時間と波長の応答を同時に計測する.高次元な光の情報を同時計測する手法として,物質科学やバイオサイエンスの分野で用いられている時間分解分光を行う際のハードウェア構成を光学や電子工学,情報学の知見を組み合わせることによって再構成し,撮像系と計算処理を同時に最適化することによって実現する.また,他分野の知見を利用して,実際のシーンで発生する光学現象と物体で生じている温度や密度変化などの物理現象や内部構造による変化,材質による応答の違いをモデル化する.構築されたモデルを用いて,霧の鮮明化や物体の材質推定,果実の糖度分布の立体的な可視化,人体の内部構造と酸素濃度の活動量の同時推定などの実応用に向けた検討とその実現に向けて取り組む.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Spectral Super-resolution by Image Sensor Tilting2020

    • 著者名/発表者名
      Kazuya Kitano, Takuya Funatomi, Ryohei Yasukuni, Kenichiro Tanaka, Hiroyuki Kubo, Yoichiroh Hosokawa, Yasuhiro Mukaigawa
    • 学会等名
      Imaging and Applied Optics 2020 (COSI)
    • 国際学会
  • [学会発表] 単一光子検出器を用いた光の高時間分解能計測による材質の分類2019

    • 著者名/発表者名
      北島大夢, 北野和哉, 櫛田貴弘, 田中賢一郎, 久保尋之, 舩冨卓哉, 向川康博
    • 学会等名
      情処研報 CVIM 219-10

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公開日: 2021-01-27  

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