研究課題
本研究では,衛星に搭載した超小型可視光カメラによる地球画像にもとづく衛星の姿勢決定法の開発に取り組んでいる.今年度の成果は大きく分け,(a)昨年度までに行った実証実験の結果詳細解析を行ったこと,(b)軌道上データを利用した改良アルゴリズムの評価を行ったこと,(c)改良アルゴリズムの実証機会である衛星のEM,FM開発を行ったことの3点である.(a) 我々は提案する姿勢決定アルゴリズムを搭載する姿勢センサ「DLAS」を開発した.DLASは超小型カメラや計算機等を備えた実験装置であり,JAXAの衛星「RAPIS-1」に搭載され,2019年に地球周回低軌道に投入されている.DLASによる軌道上姿勢決定実験の結果,事前の数値シミュレーションによる見積もりと比較して利用可能範囲がやや少ない結果となったものの,好条件下では1degオーダーの精度で軌道上・オンボードでの3軸姿勢決定可能であることを明らかにし,アルゴリズムの妥当性を示した.(b) 悪天候等により地形情報が十分得られない際の補間として,連続撮影した画像から姿勢変化を検出することを提案している.DLASで取得した実画像に対して提案アルゴリズムを評価した.その結果,衛星進行方向に設置したカメラを利用した場合に最も高い精度が得られ,既存の同サイズ帯のジャイロセンサと同等程度である10-3degオーダーの精度で相対姿勢検出が行えることなどを明らかにした.(c) 我々はJAXAの「革新的衛星技術実証2号機」にて超小型衛星「ひばり」を打ち上げ予定である.この衛星では本研究で開発する姿勢決定アルゴリズムの実証実験も予定されている.本年度は,衛星のシステム統合に当たるEMの開発に取り組み,機能・性能評価を行った.さらに次の段階として,改良点を反映したフライトモデル(FM)の開発にも一部取り組み,打ち上げに向けた準備を進めることができた.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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TRANSACTIONS OF THE JAPAN SOCIETY FOR AERONAUTICAL AND SPACE SCIENCES, AEROSPACE TECHNOLOGY JAPAN
巻: 19 ページ: 231~237
10.2322/tastj.19.231
http://lss.mes.titech.ac.jp/
http://www.hp.phys.titech.ac.jp/yatsu/DLAS/