研究実績の概要 |
さまざまなmetal/MFIを触媒として酸素流通下・823 Kで前処理を行った後、メタン・ベンゼン昇温反応を行うことで、MFI上の金属種の酸化状態や、メタンによるベンゼンのメチル化活性と反応選択性の関係を調べた。 窒素前処理では不活性だったPd, Pt, Rh/MFIは担持されている金属種が昇温過程でメタンによって還元された。それによって高い脱水素能が発現し、メタンを脱水素する過程である程度ベンゼンのメチル化が進行するものの、副反応であるメタンの単純脱水素が支配的に促進されることがわかった。そして、副反応で生成した炭素種によって活性点が被覆されてしまい、活性が低下したと考えられる。窒素で前処理を行った際には、前処理の段階で金属種が還元されてしまい、副反応の進行で急激に炭素が析出するので、見かけ上活性が見られなかった。一方、Co/MFIは昇温反応過程において、還元挙動が見られず、Coの酸化状態が+II価で安定していることが示唆された。また、773 K以上の高温領域においても、水素生成速度だけでなく、トルエン生成速度も単調に増加した。さらに、これまでの研究から、Co/MFIのルイス酸量と活性との間に強い相関がみられることがわかっている。これらのことから、Co/MFIは還元雰囲気である高温のメタン流通下においても金属の酸化状態が変化せず、適度なルイス酸性と脱水素活性を有していることで、metal/MFIの中で特異的に高い活性を示すと考えられる。なお、昇温反応前後における金属の酸化状態の推測はX線吸収分光(XAS)の結果によって支持されるものであった。 また、Co/MFIのCO吸着in-situ IRスペクトルを詳細に解析した。その結果、高波数側に見られたCOの吸着していたCoサイトが活性種であることが分かった。
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