研究課題
光遺伝学を用いた睡眠覚醒段階依存的な神経活動抑制により、覚醒時における光抑制においてのみ記憶の向上が見られた。しかし、ノンレム睡眠やレム睡眠ではコントロール群と比べて変化がなかった。また、同様に光遺伝学による記憶の獲得、固定、保持、想起時それぞれにおいて中核帯コリン作動性神経の活動を抑制すると、獲得時の抑制では記憶の低下、保持・固定時では向上がみられたが、想起では影響がなかった。次に、中核帯コリン作動性神経の活動と記憶に重要である海馬神経活動の関係を、化学遺伝学を用いた中核帯コリン作動性神経の活性化が海馬神経活動に及ぼす影響をシリコンプローブを用いて検討した。中核帯コリン作動性神経の活性化は記憶の固定や想起に重要とされる神経活動 sharp wave rippleの発生を強く抑制することがわかった。しかし一方で、記憶の獲得に重要とされるシータ波は増加していた。新規物体認知試験においても同様で、記憶の固定が行われているホームケージ時に中核帯コリン作動性神経を活性化させると、sharp wave rippleが減弱しシータ波が増加していた。そして、in situ hybridizationを用いて作動性マーカーを染色したところ、この中核帯コリン作動性神経のほとんどがアセチルコリンのみを生成していることを示唆することができた。この研究により、中核帯コリン作動性神経は記憶の獲得と固定や想起のための海馬神経活動を制御していたことが明らかになった。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
Elife
巻: 8 ページ: e44928
10.7554/eLife.44928
Science
巻: 365(6459) ページ: 1308-1313
10.1126/science.aax9238