担持パラジウム(Pd)ナノ粒子は化学工業や環境浄化において高い活性を示す触媒材料である。Pdは様々な触媒反応に活性な金属であるが、高価で希少であることから、少量でも高い活性を示すPd触媒の開発が求められている。しかし、メタン燃焼においては単純にPdを高分散化するだけでは従来以上の性能向上を達成できない。そこで申請者はPd-アルミナ間の相互作用(MSI)を触媒設計の新機軸として取り入れた。その結果、MSIの弱いθ-アルミナ上ではステップサイト多く持つ球状Pdナノ粒子を生成し、従来の7倍のメタン燃焼触媒の開発をした。本触媒はシンナムアルデヒド水素化反応にも高活性を示した。一方で、CO酸化においてコーナーが高活性なサイトであり、メタン燃焼とは異なる表面構造で反応が促進されることを見出した。したがって、触媒性能の向上には反応に適したPd粒子の設計が必要であり、金属-アルミナ間相互作用によってPd粒子の構造変化を引き起こすことができる。更に、密度汎関数と分子動力学シミュレーションを用いて、Pdナノ粒子の構造変化の原理を解明に取り組んだ。 より精密なPdナノ粒子の設計を目指して、Pd表面への吸着CO分子との相互作用に着目した。CO分子を還元剤としてカーボン上でPd前駆体を還元することで、シンナムアルデヒドアルデヒドのC=C結合のみを選択的に水素化する球状Pd粒子の設計に成功した。 金属-担体間相互作用によって触媒の酸化還元性のチューニングすることが可能であることを見出した。触媒の酸化還元性の向上は酸化反応における触媒性能の向上に繋がる。ここでは、メタン燃焼に高活性な担持Pdナノ粒子触媒とスス燃焼に高活性なCeO2担持Cu触媒の開発を行った。
|