現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度はIgGが司る免疫機能の発動に関わる機能分子との相互作用に着目し、HS-AFMを中心とした物理化学的手法により、IgG分子中の新たな相互作用部位を同定することに成功している。特に、IgGとFcγRの相互作用におけるFab領域の関与を明らかにしたことと、抗原認識を契機としたIgGの自発的な6量体形成およびC1qとの相互作用に関する研究成果については、それぞれ既に論文公表している(Yanaka, S., Yogo, R., et al., 2020 ; Yogo, R., et al., 2019)。これらの成果については、国内外にプレスリリースを実施し、一部新聞報道(中日新聞社2019年8月17日朝刊)や、インターネットなどを通じたメディア配信もしており(academist Journal、研究コラム2020年2月17日)、産業界からの注目も集めている。現在、これらの成果を含めた英文総説を発表する準備も進めている。 さらに、MDシミュレーションによりIgGのFc領域のコンフォメーション空間を探査した成果を論文公開しており(Yanaka, S., et al., 2019)、今後、IgG分子全長の動的構造やその機能分子との相互作用系への展開をはかっている。 次年度には、NMR法を用いた原子レベルでのIgG分子の構造情報の取得や、溶液散乱法による水溶液中におけるIgG分子の動的な構造解析を遂行する予定であるが、それらの準備状況も順調であり、既に予備的成果を得つつある。以上の点から、研究は当初の計画以上に進んでいると判断した。
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