研究課題/領域番号 |
19J20032
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
桜木 真理子 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | ハンセン病 / グローバルヘルス / 感染症 / 科学技術 / インドネシア |
研究実績の概要 |
【文献調査】文化人類学、科学論の文献調査を行った。特に、グローバルヘルス、薬剤、人-微生物関係に着目した文献を重点的に渉猟した。これと並行して、インドネシアの医療制度や歴史的文脈について理解を深めるため、植民地政策下および独立後におけるインドネシア医療の歴史的展開に関する文献を渉猟した。
【フィールド調査】2019年4月、調査予定地であるスラバヤ市のストモ大学とアイルランガ大学ハンセン病研究室にて1週間の短期調査を行った。調査協力者の医師・研究者らと申請者の長期調査に関する打ち合わせを行ったほか、ハンセン病患者の外来診療と、PCR検査、抗体検査等の科学実験を観察した。また最終日には現在計画中の事前投薬プロジェクトプロジェクトの対象地であるパスルアン県の保健所を視察した。現地の診察や実験を間近に観察できたほか、日本の研究室との研究環境の差異を伺い知ることができた。9月にはフィリピン・マニラで開催された国際ハンセン病会議に参加し、近年のハンセン病予防にかかわる国際的プロジェクトの動向を把握した。そのほか、学会への参加を通じてインドネシアで活動する多数の研究者と知り合うことができ有益であった。
【論文執筆・学会発表等】Anthropology of Japan in Japan(5月、国立民族学博物館)、日本文化人類学会(6月、東北大学)、現代民俗学会(8月、成城大学)で口頭発表を行った。また今年度は、昨年度に提出した修士論文をもとに英語論文を執筆した。本稿は今後、科学論の国際ジャーナル『East Asian Science, Technology and Society(EASTS)』に投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インドネシアの短期滞在を通して現地研究者との円滑なコミュニケーションを取り、フィールド調査に必要な調査許可と倫理審査の手続きを完了した。また、現地の診療の様子や研究室でのいくつかの実践を観察し、将来の長期調査に向けた研究テーマの着想を得た。これらのことから、さらなる研究の発展が期待できる。 加えて、国内での学会発表における積極的な発表を通して、研究内容に関する有意義な意見を関連分野の研究者から得ることができた。修士論文の内容を発展させた論文執筆も順調に進んでいる。 以上から、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度まではおおむね順調に研究が進行した。しかしながら、2020年4月から予定していたインドネシアでの長期調査は、新型コロナウイルスの蔓延により延期となり、今後における研究計画の再考を余儀なくされている。現時点では、今年度のあいだは学術プロジェクトのテーマである感染症を介した人間とモノのグローバルな動きについて、ハンセン病に限らず対象化し、分析を行うことを計画している。
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