1. オープンソースの感染症検査キットに関する調査を実施し、グローバルな科学的実践を成り立たせる技術的・社会的ネットワークの理解を目指した。具体的な対象は、新型コロナウイルス流行初期から始められたインドネシアでの使用を目的としたオープンソースの感染症診断デバイス(PCR検査に用いられるサーマルサイクラー)の開発であり、その開発者である日本人のハードウェアエンジニアと現地の協力者にインタビューを実施した。この調査を通し、インターネット上のつながりやデバイスの共同開発を通して越境的に行われるオープンソース的なヘルスケアの近年の動向の一端を明らかにした。
2. インドネシア、ジャワ島東部において、これまで農村部で実施されていたハンセン病を含む感染症へのヘルスケアが、新型コロナウイルス感染症の影響から長距離の移動や物資の運搬が困難となる中でどのように変化したかを調査した。残念ながらインドネシア現地での調査は叶わなかったが、調査計画当初からの調査協力者であったアイルランガ大学熱帯病センターハンセン病研究室(インドネシア・スラバヤ市)の医師・技術者に対する継続的なインタビューを通して現地の状況を把握した。
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