| 研究課題/領域番号 |
19J20118
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| 研究機関 | 東北大学 |
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研究代表者 |
亀田 麻衣 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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| キーワード | アモルファス強磁性体 / 磁気励起 / リバース・モンテカルロ / 磁気スキルミオン / 引力相互作用 / 結晶磁気異方性 |
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| 研究実績の概要 |
・磁気励起スペクトルの精確な計算手法の開発
本研究は、アモルファス磁性体における高効率スピン輸送メカニズムを調べる手法の確立および原理究明を目的とした。本年度はその第一歩として、アモルファス強磁性体の磁気励起の計算を詳しく行った。これまで、結晶磁性体の磁気励起(中性子非弾性散乱断面積)の表式をアモルファス磁性体にも使えるよう拡張し、数値計算を行った。先行研究においては、アモルファス磁性体のランダムさとスピン-スピン相互作用のうち、少なくとも片方を大胆に近似することでその解析が行われてきた。本研究ではそのような近似を避けるため、スピンの時間発展方程式とリバース・モンテカルロ法を組み合わせることにした。これにより、アモルファス磁性体の磁気励起を数値的に計算できるようになった。今年度は、ハミルトニアンのパラメータを変えた詳細な計算に加え、計算された磁気励起について物理的な解釈を試みた。その結果、波数~0のスピン波に加え、有限波数におけるディップ構造が見つかった。後者のディップはアモルファス強磁性体Co4PのX線散乱強度のピーク位置に対応することがわかった。
・磁気スキルミオンの引力相互作用の機構解明
二次元面内に磁場をかけたり、結晶磁気異方性を導入したりすることなどにより、磁気スキルミオンの形状が歪むことがわかった。これはスピン空間の面内異方性によるものであり、スキルミオン間に引力相互作用を誘起することがわかった。さらに、結晶磁気異方性が強くなるとスキルミオン間に磁気ドメインが 形成され、引力相互作用が強磁性転移温度程度のエネルギーまで大きくなることもわかった。これらの振る舞いについて、スキルミオンの形状と相互作用との一般的な関係式を導出することにも成功した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アモルファス磁性体の磁気励起について、有限波数におけるディップ構造が、Co4PのX線散乱強度のピーク位置に対応することが明らかになった。有限波数におけるディップ構造と構造因子とのつながりが示唆され、その物理的解釈に一歩近づいたため。磁気スキルミオン間の相互作用については、その形状と相互作用との一般的な理解が得られたため。
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| 今後の研究の推進方策 |
アモルファス磁性体の磁気励起について、有限波数におけるディップ構造の解釈が重要な課題である。Co4PのX線散乱強度のピーク位置と対応することから、アモルファスの原子構造をの定量的な解析等が検討される。磁気スキルミオン間の相互作用については、その制御方法の検討が課題である。結晶磁気異方性や磁場の大きさだけでの制御が困難なため、これらを組み合わせた制御方法の考案を進める予定である。
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