本年度は、大きく分けて2つの調査を行った。 第一に、昨年度から継続して行っている児童養護施設でのフィールドワークを今年度も行った。小学生のユニットでの参与観察に加えて、中学生6名へのインタビューを実施した。以上のフィールドワークを通して得られた知見は、①進路選択にあたっては家族の影響が大きいこと、②家族についての語りが今の生活と比較するなかでなされていたこと、③小学生たちのなかでのトラブルの構築の特徴の3点にまとめることができる。 以下の通りに成果をまとめたるとともに、今後の構成ができた。 ①については、次年度の教育社会学学会への論文投稿および学会発表を予定している。②については、家族についての記述実践に着目して、家族社会学会への論文投稿および学会発表を予定している。③は、「トラブルのミクロポリティクス」という視点を援用して記述した。次年度の「子ども社会研究」への投稿を予定している。 第二に、昨年度に引き続き小学校でのフィールドワークを行い、施設入所児に対する教育実践の様相を明らかにした。また、小学校でのフィールドワークによって得られたデータからは、施設入所児たちへの情緒的理解をしようと教師たちがさまざまな実践を行っている様相と、そうした理解を阻む要因として、児童養護施設との連携の難しさがあることを明らかにした。 なお、以上の知見を子ども社会学会の大会にて発表を行うとともに、『教育学研究』へ論文投稿を行った。
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