現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
課題(2)に関しては、当初の予定より早く2019年度に論文出版を行うことができた [Y. Hosaka, S. Komura, and D. Andelman, “Shear viscosity of two-state enzyme solutions”, Phys. Rev. E 101, 012610 (11pp) (2020)]。本研究では、ATP濃度に依存した酵素溶液粘性率を解析的に導出し、実験的に観察されている酵素溶液中での受身粒子の非平衡的拡散を説明するモデルになり得る。この研究結果については、国内外の研究会や学会において発表・議論・情報交換を行い、本理論研究の発信に努めた。また、課題(1)に関しては現在論文投稿中である[Y. Hosaka, S. Komura, and A. S. Mikhailov, “Mechanochemical enzymes and protein machines as hydrodynamic force dipoles: The active dimer model”, arXiv: 2003.02574]。 さらに、当初研究計画では予期していなかったが、時間対称性が破れた二次元流体に出現する反対称粘性率に関して重要ないくつかの結果を得た。反対称粘性率は、生体分子マシンの導入以外で細胞・生体膜内の粘性率を記述する方法として期待される。 以上の成果より、現在までの進捗状況として、当初の計画以上に研究は進展していると言える。
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