現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
課題(1)に関しては、当初の予定よりは遅いが2020年度に論文出版を行うことができた[Y. Hosaka, S. Komura, and A. S. Mikhailov, "Mechanochemical enzymes and protein machines as hydrodynamic force dipoles: the active dimer model", Soft Matter 16, 10734-10749 (16pp) (2020)]。本研究では、生体分子マシンをモデル化したアクティブ・ダンベルを構成する結合が強い場合、分子マシン溶液における拡散が抑制されることが分かった。 さらに、当初の研究計画では予期していなかったが、時間と空間に関する反転対称性が破れた、アクティブ・カイラル流体に存在する反対称粘性率に関する研究を行い成果を出版した[Y. Hosaka, S. Komura, and D. Andelman, "Nonreciprocal response of a two-dimensional fluid with odd viscosity", Phys. Rev. E 103, 042610 (11pp) (2021)]。また、この研究結果について、オンライン開催された研究会や学会で発表・議論を行い、情報発信に努めた。生体分子マシンが分散した細胞や生体膜内環境はアクティブ・カイラル流体と見なすことができるため、反対称粘性率の流体力学的な性質の解明によって、本研究課題が大きく促進することが期待される。 以上の成果より、現在までの進捗状況として、当初の計画以上に研究は進展していると言える。
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