研究課題/領域番号 |
19J20375
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大友 佳嗣 北海道大学, 情報科学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | 非接触給電 / トポロジー最適化 / ロバスト最適化 / 漏洩磁界 / 交流損失解析 / 電力伝送効率 |
研究実績の概要 |
2020年度は非接触給電装置のコイル形状も含めたトポロジー最適化を実現するため,送受電コイル内で発生する損失の正確な解析手法の確立にまず取り組んだ.非接触給電の送受電コイルには一般に細線を撚ったリッツ線が多く用いられるが,リッツ線に交流電流を流した際に発生する交流損失(渦電流損および循環電流損)を,有限要素法によって高速かつ正確に解析する手法は従来提案されていなかった.そこで,申請者らは複素透磁率を用いたリッツ線の均質化法を新たに考案し,巻線の微細構造を考慮することなく交流損失を解析する手法を新たに開発した.本法を用いることで従来困難であった,交流損失の低減を目的とするコイル形状のトポロジー最適化を高速に実現できる. 加えて,2020年度は非接触給電装置用の磁気コアの,新しいトポロジー最適化手法の開発にも取り組んだ.2019年度に申請者らが実現した,ガウス基底関数法による磁気コアのトポロジー最適化は送受電コイル位置ずれ時のロバスト性も含め,非接触給電の特性改善に有効であることを示した.しかし,非接触給電系によく用いられる,棒状磁気コア形状の獲得が難しい問題があった.そこで,申請者らは長方形や円など,基本図形の組み合わせでトポロジー最適化を行う,Geometry projection(GP)法を非接触給電装置の最適化に適用することを考案した.GP法により,棒状磁気コアの組み合わせで表現可能なトポロジーを獲得でき,その性能はパラメータ最適化による参照形状を大きく上回ることを確認した. 以上2つの研究成果より,実製造性を考慮したコイル・磁気コア形状のトポロジー最適化を実施することができる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は当初計画していたコイル形状最適化の検討に加えて,巻線の交流損失を考慮するための新しい均質化法,等価回路合成法および,磁気コア形状最適化法を考案した.また,それら研究成果をいくつかの国内学会,国際学会で発表すると同時に,電気機器分野で注目度の大きいIEEE Transactions on Power Electronicsに投稿論文が掲載された.以上より,本年度の進捗は当初の計画以上であったと考える.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に確立した,コイルおよび磁気コアの解析・最適化手法を用いて,それらの同時最適化に取り組む予定である.また,非接触給電装置はコイル銅損のみならず,磁気コアの鉄損も高性能化を実現する上では重要な要素になるため,鉄損を正確かつ高速に推定する手法の確立についても取り組む予定である.
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