研究課題
新型コロナウイルスの影響により、新たに被験者実験を実施することができなかったため、2019年度中に取得した被験者実験のデータを利用しデータ解析を行った。脳波の解析では、脳内のニューロンの同期性の指標としてsynchronization likelihoodを基にした脳ネットワークを構築・評価する手法を提案した。また、媒介中心性を算出しその値を基に電極集合を抽出した。この電極集合を評価するためにSzymkiewicz-Smpson係数を導入し、表情に関する脳活動の考察を行なった。fMRIの解析では、表情に関連して活性することが知られる脳部位が本研究の実験タスクでも活性化したことがわかった。ネガティブ表情の表出に関して前頭部の左運動前野腹側部と両下前頭回が活性化し、表情表出一般で後頭部の右下頭頂小葉、両上頭頂小葉及び両後帯状皮質が活性化した。活性化したこれらの脳部位が十分な大きさを持てば、脳波の解析結果から脳部位の位置を推測できることも示唆された。脳波及びfMRIの結果から、ネガティブ表情表出における脳活動の類似性が見られた。被験者の表情写真の解析によって、ポジティブ及び中立な表情では意図した表情を表出できたが、ネガティブな表情は意図した表情を表出できていないことが分かった。また、左右のポジティブ表情の違い、ポジティブ表情とネガティブ表情の違い、ポジティブ表情間の類似性、ネガティブ表情間の類似性が確認できた。以上より、感情変化を伴わない単純な表情の表出によって脳活動を変化させることができたということは、笑顔の表出を利用した治療や表情の模倣を意識的に行わせたトレーニングの効果を科学的に支持できたと考える。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Neuroscience Methods
巻: 357 ページ: 109158~109158
10.1016/j.jneumeth.2021.109158