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2019 年度 実績報告書

結晶配向に基づく鉄心加工劣化予測とこれを応用したISG用クローポールモータの開発

研究課題

研究課題/領域番号 19J20572
研究機関東北大学

研究代表者

羽根 吉紀  東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2022-03-31
キーワードクローポールモータ / LLG方程式 / 磁気特性予測 / 磁気回路法 / 鉄損 / 磁歪力
研究実績の概要

本年度は,ISGシステム用クローポールモータの最適設計を目的とし,LLG方程式を用いた加工後の電磁鋼板の磁気特性予測,並びに磁気回路法に基づく鉄損および磁歪力の算定に関する検討を行った。
LLG方程式を用いた加工後の電磁鋼板の磁気特性予測においては,高圧延加工を施された電磁鋼板の磁気特性の予測精度向上に関する検討を行った。従来の予測手法では,30%以上の高圧延率において,直流ヒステリシスループの予測精度が低下するという問題があったが,圧延に伴う磁化過程の変化を勘案した補正係数をLLG方程式に加えることで,保磁力,最大磁束密度,ヒステリシス損の計算値が実測値に対して10%以内と,予測精度が大幅に向上することを明らかにした。
磁気回路法に基づく鉄損算定においては,従来は困難であったPWM励磁時のマイナーループの高精度な算定を目的とし,磁気ヒステリシスを表現可能なプレイモデル,並びに高周波における表皮効果の影響を考慮可能なCauerの等価回路理論を取り入れた磁気回路モデルを構築した。本手法により得られた計算値を実測値と比較した結果,マイナーループの形状を精度良く表現可能であることを示した。さらに,鉄損については計算値と実測値の誤差5%以内と,非常に高精度に算定可能であることを明らかにした。
磁気回路法に基づく磁歪力算定においては,高精度かつ実用的な計算時間と計算機容量での算定を目指し,鉄心の磁気回路網モデルより求めた各部の磁束密度分布に基づき,発生する磁歪力を近似的に算出する方法を構築した。本手法を用いて,簡便な形状の巻鉄心の磁歪力算定を行った結果,計算時間は1秒未満であったことから,今後,クローポールモータの解析においても,大幅な計算時間と計算機容量の削減が期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

任意の大きさの圧延が施された電磁鋼板の磁気特性の高精度な予測手法の構築を達成し,さらに当初の予定にはなかった,PWM駆動により生じるマイナーループまで含む鉄損や,モータの振動の原因となる磁歪力の算定手法の構築についても一定の成果を挙げたため,当初の計画以上に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

今後は,本年度の研究成果を基に,加工後の電磁鋼板の磁気特性,PWM励磁時のマイナーループを含む鉄損,および磁歪力まで考慮可能なクローポールモータの磁気回路網モデルを構築し,提案手法による計算結果と実証機を用いた実験結果との比較検証を行う予定である。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] LLG方程式による高圧延加工された電磁鋼板の磁気特性予測精度向上に関する検討2020

    • 著者名/発表者名
      羽根吉紀,中村健二, 川瀬剛志,細川徳一,栗本直規
    • 雑誌名

      日本磁気学会論文特集号

      巻: - ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] LLG方程式を用いた鉄心加工に伴う磁気特性変化の予測手法2019

    • 著者名/発表者名
      羽根吉紀,中村健二,吉岡卓哉, 川瀬剛志,石川智一
    • 雑誌名

      日本磁気学会論文特集号

      巻: 3 ページ: 90-94

    • DOI

      10.20819/msjtmsj.19TR318

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Reluctance Network Model of Three-Phase-Laminated-Core Variable Inductor Considering Magnetic Hysteresis Behavior2019

    • 著者名/発表者名
      Y. Hane, K. Nakamura, T. Ohinata, and K. Arimatsu
    • 雑誌名

      IEEE Transactions on Magnetics

      巻: 55 ページ: 8401306

    • DOI

      10.1109/TMAG.2019.2900527

    • 査読あり
  • [学会発表] リラクタンスネットワーク解析に基づく変圧器用鉄心の磁歪力算定に関する基礎検討2020

    • 著者名/発表者名
      羽根吉紀,中村健二,栗田直幸
    • 学会等名
      電気学会静止器/回転機合同研究会
  • [学会発表] プレイモデルを組み込んだ磁気回路モデルによる直流重畳リアクトルの解析2020

    • 著者名/発表者名
      細野雄也,羽根吉紀,中村健二
    • 学会等名
      電気学会静止器/回転機合同研究会
  • [学会発表] 磁気回路法に基づく最新の損失算定技術2020

    • 著者名/発表者名
      中村健二,羽根吉紀
    • 学会等名
      電気学会全国大会
  • [学会発表] Dynamic Hysteresis Modeling for Magnetic Circuit Analysis by Incorporating Play Model and Cauer’s Equivalent Circuit Theory2020

    • 著者名/発表者名
      Y. Hane and K. Nakamura
    • 学会等名
      Intermag2020
    • 国際学会
  • [学会発表] 磁気ヒステリシスを考慮可能な磁気回路モデルを用いた直流重畳リアクトルの解析2019

    • 著者名/発表者名
      細野雄也,羽根吉紀,中村健二
    • 学会等名
      電気関係学会東北支部連合大会
  • [学会発表] プレイモデルとCauer回路を取り入れた磁気回路モデルを用いたマイナーループの算定精度向上に関する検討2019

    • 著者名/発表者名
      羽根吉紀,中村健二
    • 学会等名
      電気学会A部門大会
  • [学会発表] LLG方程式による高圧延加工された鉄心の磁気特性の予測精度向上に関する検討2019

    • 著者名/発表者名
      羽根吉紀,中村健二,川瀬剛志, 細川徳一,栗本直規
    • 学会等名
      電気学会静止器/回転機合同研究会
  • [学会発表] プレイモデルとCauerの等価回路理論を取り入れた磁気回路解析2019

    • 著者名/発表者名
      羽根吉紀,中村健二
    • 学会等名
      電気学会静止器/回転機合同研究会
  • [学会発表] LLG方程式を用いた磁気特性の加工による変化の予測精度向上に関する検討2019

    • 著者名/発表者名
      羽根吉紀,中村健二,川瀬剛志, 細川徳一,栗本直規
    • 学会等名
      日本磁気学会学術講演会
  • [学会発表] プレイモデルとCauerの等価回路理論を取り入れた磁気回路モデル2019

    • 著者名/発表者名
      羽根吉紀,中村健二
    • 学会等名
      マグネティックス/モータドライブ/リニアドライブ合同研究会

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公開日: 2021-01-27  

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