研究課題/領域番号 |
19J20623
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
榎本 聖香 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | 過活動 / 慢性疼痛 / 活動パターン |
研究実績の概要 |
本年度は、過活動を測定する質問票である日本語版活動パターン質問票(the Japanese version of the Patterns of Activity Measure-Pain; POAM-P-J)を作成した。POAM-Pは、回避・過活動・ペーシングの3因子30項目から成る質問票であり、慢性疼痛患者の活動パターンを測定する質問票として広く用いられている。また、POAM-Pはスペイン語やフランス語に翻訳されている。本邦では、過活動やペーシングを同時に測定できる質問票は未だ存在していない。そのため、POAM-P-Jを開発することは、慢性疼痛患者への臨床や研究の促進のために重要である。 まず、POAM-Pを日本語に翻訳した後、逆翻訳をして原著者からの承諾を得た。そして、5名の慢性疼痛患者を対象にパイロット試験をして、教示文に修正を加えた。その後、大学病院ペインクリニック科などの医療機関にて、慢性疼痛患者147名を対象にPOAM-P-J、簡易疼痛質問票(Brief Pain Inventory)、抑うつ・不安質問票(Hospital Anxiety and Depression Scale)への回答を求めた。その結果、POAM-P-Jは十分な内的一貫性と再検査信頼性を有することが確認された。また、下位因子である回避・過活動は、疼痛関連アウトカムの悪化と相関し、POAM-P-Jの基準関連妥当性も確認された。以上より、POAM-P-Jは、本邦の慢性疼痛患者の活動パターンを測定する質問票として適切であると示された。本研究結果は、英文誌に投稿中である。POAM-P-Jを用いることにより、慢性疼痛患者の活動パターンを簡便に測定することができ、介入への示唆を得ることが可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、大学病院ペインクリニック科にてデータを収集する予定であったが、新型コロナウイルス感染症により、臨床研究を中断せざるを得なくなった。また、豪州シドニー大学のRoyal North Shore Hospital(RNSH)に渡航し、過活動向けの介入プログラムを開発する予定であったが、新型コロナウイルス感染症により、渡航が困難な状況が続いている。こうした理由により、研究計画に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の影響が続くことを考慮し、大学病院で予定していたデータ収集をインターネット調査に変更予定である。また、豪州シドニー大学への渡航期間を予定より短く変更する。
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