研究実績の概要 |
過活動を測定する質問票(POAM-P-J)の信頼性・妥当性を確認した尺度論文がBioPsychoSocial Medicineに採択された。これにより、国内で過活動を測定できる質問票が初めて開発された。また,過活動を呈する慢性疼痛患者に対する事例論文がClinical Case Reportsに採択された。この事例論文を通じて、完全主義への介入が過活動の軽減に繋がる可能性が示唆された。 さらに,完全主義が過活動を強め,疼痛や生活支障の悪化に繋がるというモデルの検証を行った。オンライン調査にて取得した縦断データの解析・論文執筆を行った。解析の結果,完全主義の一側面である完全主義的努力が過活動を一部予測したが,完全主義的懸念は過活動を予測しなかった。また,予想に反し,過活動は疼痛や生活支障の増強と関連しなかった。その背景には,過活動を測定する質問票(POAM-P-J)には,適応的な活動パターンであるtask-persistenceの内容が反映しており,非適応的な活動パターンである過活動(overactivity)を正確に測定出来ていないという可能性がある。そのため,今後の研究においては,近年新たに開発されたOveractivity in Persistent Pain Assessment(OPPA;Andrews et al., 2021)などの質問票を用いて,モデルが実証されるか検証する必要がある。本研究結果は,IASP 2022にて発表した。
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