研究課題
昨年度までの実験で、原腸繊毛が何かしらの形で正確な左右軸形成に関与していそうであることは結論づけられた。しかし、原腸の繊毛がどのような過程で形成され、どのように機能的な動きを見せるようになるのか等の基本的な情報が欠落していることが、正確な解釈への障壁となっていることに気づいた。そこで、今年度は、原腸繊毛が形成される位置や繊毛の配向が原腸陥入に伴ってどのように変化するのかを明らかにしようと、原腸細胞と原腸繊毛のより詳細な観察に取り組んだ。まず、「繊毛をGFPで光らせるコンストラクト」を発現させた胚を固定し、免疫蛍光染色法と共焦点レーザー顕微鏡による高解像度の観察法を用いて、GFPと繊毛の根元に存在するgamma-tubulinを検出する方法を試した。しかし、数多くのウニを用いて、様々な条件下で観察を試みたにも関わらず、「繊毛をGFPで光らせるコンストラクト」を発現させると多くの胚は死んでしまう上に、原腸繊毛にGFPタグが取り込まれない場合も多かった。そのうえ、今回利用したanti-gamma-tubulin抗体は外胚葉の細胞膜をぼんやりと染めてしまうので、外胚葉の染まりがバックグラウンドシグナルとなり、胚の中央に位置する原腸でgamma-tubulinシグナルを観察する妨げとなった。そこで次に、マイクロインジェクションに用いる細い針を用いて原腸胚を生きたまま前後軸に沿って背側と腹側に切り分けて、内胚葉にアクセスしやすくしたうえで同様の観察を試みた。しかし、こちらも数多くのチャレンジにも関わらず、切り分ける過程で原腸細胞の形が損なわれてしまい、正確な観察をすることが出来なかった。現在は、zebrafishやxenopusで繊毛の根元だけを標識することが確認されているmRNAをウニ胚にマイクロインジェクションすることで、この課題を解決しようと試みている。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plos Genetics
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