研究課題
本研究では、優れた感温機能を示す強発光性の希土類配位高分子の開発を目的とする。具体的には4,4’-bipyridine配位子を有する 七配位希土類錯体の構造変形によって、感温特性を有する配位高分子の形成を行う。この構造変形のプロセスは結晶中に起こり、初めてin-situ希土類配位高分子の合成が期待される。また、機能発展のために、単結晶状態における異なるLn(III)錯体の結晶連結を目指す。新規な方法では、テルビウム(Tb(III))およびジスプロシウム(Dy(III))錯体は同様な構造変化(七配位型錯体から八配位型配位高分子へ)を示すことから、異なる結晶の連結を初めて試みた。また、共焦点レーザー顕微鏡を用いてその新規な連結結晶の光物性および光機能を検討した。PXRDおよび単結晶構造解析によりDy(III)二核錯体はTb(III)二核錯体と同様な構造変化を示すことから、Tb(III)結晶―Dy(III)結晶の連結が可能と考えられる。具体的にはTb(III)二核錯体の結晶とDy(III)二核錯体の結晶を接触させ、配位高分子化後に分子レベルでTb(III)錯体の結晶とDy(III) 錯体の結晶を連結することに成功した。次に、連結結晶の光物性および光機能を検討するために共焦点レーザー顕微鏡を用いて、場所依存の発光スペクトルを測定した。その結果、連結結晶を460nmのレーザー(Dy(III)を選択励起)で励起することで、Dy(III)結晶の部分だけでなくTb(III)結晶の部分も発光することが明らかになった。この励起波長ではTb(III)錯体を励起できないため、Tb(III)の発光はDy(III)結晶からの長いエネルギーマイグレーションに起因すると考えられる。また、DFT計算によりこの長いエネルギーマイグレーションは配位高分子の大きい双極子モーメントに起因すると示唆された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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