研究課題/領域番号 |
19J20784
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤川 祐輝 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
|
キーワード | クラスター構造 / アルファ凝縮状態 / 波形解析 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
本研究は、低密度核物質についての知見を得るために、24Mg原子核におけるα凝縮状態の探索実験を行うことを目的としている。その方法として、12C+12C共鳴散乱からの多重崩壊粒子測定を行う予定である。α凝縮状態探索では、励起状態から放出される複数の低エネルギー崩壊α粒子を測定する必要がある。この時、α粒子の他にも様々な崩壊粒子が放出されるため、その中からα粒子を識別しなければならないが、低エネルギーでの粒子識別は非常に困難である。そこで本研究では、機械学習を用いた波形解析を導入し、この困難を克服する計画である。2020年度は機械学習による波形解析を用いた粒子識別技術の開発のためのテスト実験を行った。 神戸大学タンデム静電加速器施設において、Si検出器の印加電圧・粒子の入射面・プリアンプの時定数を変更し比較する実験を行った。取得した波形データから、立ち上がり時間等の特徴量を抽出し、各実験セットアップでの粒子識別性能を評価した。その結果から、印加電圧・粒子の入射面・プリアンプの時定数の波形解析に最適な組み合わせを決定した。 さらに、東北大学CYRICにおいて、核破砕反応を用いて生成した連続エネルギーの荷電粒子の波形を取得する実験を行った。取得した波形を訓練データとして用いてニューラルネットワークの学習を行ったところ、従来の立ち上がり時間を用いた粒子識別に比べ粒子識別精度が向上し、2MeVの陽子とα粒子を95%以上の精度で識別することが可能となった。 また、本実験で用いる5枚のSi検出器を設置するための検出器架台、全チャンネルを読み出すための回路を整備し、セットアップを完成させた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標としていた1枚のSi検出器での粒子識別技術の開発をおおむね完了させることができた。現在、さらなる粒子識別性能の向上を目指し、アルゴリズムの改良を行っている。今後、Si検出器を増やして複数チャンネルでの粒子識別性能の評価を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度前半には、日本原子力開発機構タンデム加速器において、全検出器セットアップを用いてのテスト実験を予定している。本テスト実験において全チャンネルでの粒子識別性能の評価を行う。その後、2021年度後半に同施設において、12C+12C共鳴散乱実験を実施する。
|