研究実績の概要 |
本研究は、腸内細菌、特にビフィズス菌が持つ植物性多糖分解酵素に着目し、その増殖メカニズムやビフィズス菌間の共生関係を解明することを目的としている。 昨年度は、「未処理のアラビアガム」を資化できないJCM1217が、GAfase処理後の「末端GA除去アラビアガム」を資化できることを明らかにした。本年度は、その作用機序を明らかにするために、アラビアガムを唯一の炭素源とした培地でのアラビアガム資化性菌B. longum JCM7052の培養上清の残存糖の構造解析を行った。その結果、Rha-α1,4-GlcA-β1,6-Gal-β1,6-Galの四糖であることを明らかにした。また、アラビアガムに修飾されたα1,4-Araの遊離にはBLLJ_1850が関与していることを明らかにした。側鎖の修飾糖を分解するα-L-arabinofuranosidase (BLLJ_1850)及び、主鎖を分解するexo-β1,3-galactanase (BLLJ_1840)を末端GA除去アラビアガムに作用させたところ、アラビノースやGal-β1,6-Gal 、Rha-α1,4-GlcA-β1,6-Gal-β1,6-Galの四糖の遊離が確認された。以上の結果、GAfaseが末端二糖構造を切り出すことによって、他のAGP分解酵素がアラビガムの糖鎖の内部に作用しやすくなることを明らかにした。また、B. longumにはα-rhamnosidaseやβ-glucronidase遺伝子をコードしておらず、遊離四糖を利用できないため、同じ共生細菌でありそれらの酵素をコードしているBacteroidesが利用している可能性が示唆された。
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