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2020 年度 実績報告書

光学活性有機銅(III)を活用した新規触媒的不斉ホウ素化反応の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19J20823
研究機関北海道大学

研究代表者

小澤 友  北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2022-03-31
キーワード不斉反応 / ホウ素化反応 / アリルホウ素化合物 / 銅触媒 / 量子化学計算
研究実績の概要

本研究の目的は以下の二点を含む。1)不斉配位子のデザインによる光学活性な有機ホウ素化合物の新規合成法の開発。2)有機銅(III)の高い還元的脱離能を用いた立体的に嵩高い構造の構築。光官能基化された有機ホウ素化合物は有機合成における有用な合成中間体であると認識されている。特に安価な銅を触媒とした合成法の開発は重要な課題である。このような背景のもと、本年度では以下の成果を得た。
1.非共有結合性相互作用を用いた不斉配位子のデザインによるラセミ体アリル求電子剤の不斉ホウ素置換反応:非共有結合性相互作用を用いた配位子の配座規制戦略に基づき新規配位子を設計、合成した。また、本配位子をヘテロ環を含むラセミ体環状アリル求電子剤の直接エナンチオ収束ホウ素化反応に適用し、高エナンチオ選択的に目的のアリルホウ素化合物を得た。また、同様の配位子を用いて低温で直鎖基質のホウ素化反応を行ったところ速度論分割によって高エナンチオ選択的にアリルホウ素化合物が得られることが分かった。さらに、量子化学計算を用いて反応機構を詳細に調査した結果、不斉配位子による分子の立体構造の認識が環状基質だけでなく直鎖基質に対しても同様に作用し、高いエナンチオ選択性が発現していることが分かった。
2.アレン類のカルボホウ素化反応による多置換アリルホウ素化合物の合成:銅触媒と適切な配位子を用いることで二置換アレン類およびハロゲン化アルキルを基質として進行する新規カルボホウ素化反応を開発した。本反応は高収率かつ高位置・立体選択選択的に進行し、対応する多置換アリルホウ素化合物が得られる。また、量子化学計算を用いることで配位子のポケット構造がアレン類の置換基の認識に重要であり、高い位置・立体選択性の発現に関与していることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の研究計画では、「1.ハロゲン化アルキルに対するエナンチオ収束的なホウ素化反応の開発(平成31年度から令和1年度予定)」を今年度の研究目標としていた。しかしながら昨年度にこれを前倒しして達成し、第二級ハロゲン化アルキルに対する不斉ホウ素置換反応を開発した。さらに、研究を遂行している中で、不斉配位子をさらに改良することで「2.ラセミ体アリル求電子剤の不斉ホウ素置換反応」の反応性とエナンチオ選択性がいずれも改善できることが分かった。そして最終的にヘテロ環を含む環状基質の直接エナンチオ収束ホウ素化反応と直鎖基質の速度論分割による不斉ホウ素化反応の開発を達成した。また本年度は、有機銅(III)の高い還元的脱離能を用いて立体障害の大きな構造を構築するという戦略の下で「3.四置換アルケン構造を有するアリルホウ素化合物の合成」に取り組んだ。反応条件の最適化と適切な配位子の選択の結果、すべて異なる置換基からなる四置換アルケン部位を有するアリルホウ素化合物を高収率かつ高立体選択的に合成することに成功した。さらに、計算化学を用いることで配位子のポケット構造が本反応の選択性に重要であることを見出した。このように、当初研究計画を超えて研究が進展している。

今後の研究の推進方策

今後の研究計画については、「ホウ素基を有する中員環trans-シクロアルケンの触媒的不斉合成法の開発(平成31年度から令和3年度予定)」を集中して行っていく。また、先に述べた「3.四置換アルケン構造を有するアリルホウ素化合物の合成」に関しては継続して研究を行い、基質適用範囲の拡大を目指す。さらにこれらに関して十分に進展が見込まれた場合には「1.ハロゲン化アルキルに対するエナンチオ収束的なホウ素化反応の開発(平成31年度から令和2年度予定)」に関連した第三級ハロゲン化アルキルの不斉ホウ素置換反応に着手する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 1,1-二置換アレン類のアルキルホウ素化反応による多置換アリルホウ素化合物の位置および立体選択的合成2021

    • 著者名/発表者名
      小澤友, 遠藤康平, 伊藤肇
    • 学会等名
      日本化学会第101春季年会

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公開日: 2021-12-27  

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