これまでに、口腔以外組織におけるT2Rの機能について調べるために、C57BL/6マウスの5種類の口腔以外組織(褐色脂肪組織、白色脂肪組織、骨格筋、肝臓、小腸)ならびに白色脂肪組織のモデルである3T3-L1細胞およびC2C12細胞におけるT2Rの遺伝子発現を解析し、これらの細胞株がT2R機能解析におけるモデルとして用いることができる可能性を提示してきた。しかしながら、これらの細胞株に発現しているT2Rが機能しているかを調べた例は現在までに無く、これらの細胞株を対応する組織のモデルとして用いるためには、発現しているT2Rが機能しているかを確認する必要があった。 T2Rの発現レベルは細胞分化や外部環境からの刺激により変動することが知られているため、3T3-L1細胞とC2C12細胞に発現しているT2Rの発現レベルに細胞分化が与える影響を解析した。その結果、細胞分化によるT2R発現レベルの上昇を確認した。また、脂肪細胞におけるT2R発現レベルの変動に影響する因子を探索し、3T3-L1脂肪細胞やマウス脂肪組織のT2R発現を変化させる要素を明らかにした。さらに、苦味化合物で刺激した3T3-L1脂肪細胞のトランスクリプトーム解析を行い、T2R機能を推定した。推定した機能についてT2Rを過剰発現させた細胞を用いて解析することで、推定に沿った現象が起きることを確認した。 以上のように今年度は、T2Rの脂肪細胞における機能を解析した。
|