研究課題/領域番号 |
19J20948
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
SHEN Weilin 九州大学, 生物資源環境科学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | 高血圧 / ペプチド / レニン-アンジオテンシン系 |
研究実績の概要 |
本研究は、レニン-アンジオテンシン系(RA系)は「昇圧/降圧」調節系であり、RA系ペプチド動態を網羅的に評価することで、新たな血圧調節メカニズムおよびオリゴペプチドを主体とした疾患予防食品設計を提唱するものである。そこで、本年度では、オリゴペプチドの吸収性評価、およびRA系代謝物の網羅的評価法の設定を試みた。 まず、Sprague-Dawley(SD)ラット(雄性、8週齢)に対し、オリゴペプチドAsp-Gly-Tyr-Met-Pro(100 mg/kg-B.W.)を単回経口投与し、オリゴペプチドの体内移行性および循環血中動態を評価した。その結果、LC-MSを用いて、投与後15分から血漿サンプル中からpmol/mLレベルで検出された。このことは、オリゴペプチドは経口摂取時、腸管を介し吸収され、その血中濃度はpmol/mLに到達することが示された。 対象RA系ペプチド(Ang I、Ang-(1-9)、Ang II、Ang-(1-7)、Ang A、およびangioprotectin)のアッセイ系を検討した。その結果、LC-MSを用いて、各ペプチドを分析、検出するLCおよびMS条件を設定できた。そのLODはサブpmol/mLであった。より高感度を得られるために、対象化合物に電荷を付与するsupercharging reagentである3-ニトロベンジルアルコールの添加を試みたが、その検出感度は無添加時と同程度であった。RA系ペプチドの血中濃度はfmol/mLであり、更に高感度の検出系の設定が課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、経口投与による血中オリゴペプチド動態、およびそれによるRAS系に対する動態を一斉分析できる評価系の構築を目的として検討を行い、サブpmol/mLレベルでの血中ペプチド動態評価が可能となった。しかし、循環血中のアンジオテンシン代謝物はfmol/mLレベルであり、微量血漿により、長期間に渡り経時的に循環血中のペプチド動態を評価するために、更に高感度分析法の設定が必要であり、今後の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、網羅的に高感度にRA系ペプチドを検出・定量するために、抗原抗体反応を利用した蛍光検出による高感度検出・定量系の設定を試みる。また、オリゴペプチドの腸管吸収メカニズムの究明とともに、腸管吸収性を有するオリゴペプチドを正常/高血圧ラットに単回投与し、オリゴペプチドによるRAS系代謝物動態に対する影響を評価する。
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