研究実績の概要 |
本年度は,オンチップ広帯域周波数もつれ光子対源の実現に向けて,窒化シリコンリング共振器と高屈折率コントラストドープガラスリング共振器の2つのデバイスを用いて研究を行ってきた.窒化シリコンリング共振器に関する研究では,3つの異なる窒化シリコン層成膜方法(減圧CVD,プラズマCVD,液体ソースCVD)を用いてリング共振器を作製し,作製したリング共振器の分散を測定し比較することで,窒化シリコン成膜プロセスの最適化を行った.さらに,赤外分光測定装置を用いることで,波長1500nmから1530nm付近において,Si-H,N-H結合による吸収の存在を確認した.今後は更なるデバイス作製精度の向上を行っていく予定である.さらに,新たなデバイス作製を設計し,LIGENTEC社にデバイス作製を依頼した.作製されたデバイスを測定した結果,およそ100nmの帯域での光子対発生を確認した.この結果は,申請時の計画を1年前倒しする結果である.また,高屈折率コントラストドープガラスを用いた研究では,リング共振器の透過スペクトルから,光子対の発生帯域を計算し,実験結果との比較を行った.その結果,測定結果と計算結果がよく一致していることを確認した.本研究は現在論文投稿中である.また.発生光子対の周波数相関を確認する方法として,マイケルソン干渉計を用いた方法を考案し,実験的に確かめた.その結果,周波数相関の有無に応じて,得られた干渉信号周期が異なることを確認することに成功した.
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