研究課題
本研究では、高効率を誇る多接合太陽電池の汎用性を高めるため、基板に用いる単結晶Geウェハをプラスチック上のGe薄膜に代替することを目的とする。最終年度となる本年度は、主に以下の成果が得られた。①我々は固相成長法の高度化により、従来法よりも2桁の大粒径化(~10 μm)を達成するとともに、Ge薄膜の正孔密度を1E17 cm-3まで低減した。しかし、光生成キャリアの取り出しには多数キャリアの更なる低減が望ましい。従って、多結晶Ge薄膜におけるアクセプタの起源を調査した。機械学習に基づいた新しい解析法を提案し、多結晶Ge薄膜では、室温における正孔が粒内・粒界双方から生じることを見出した。②上記解析により見出したアクセプタ欠陥の低減のために、Sn添加とH2プラズマ処理を検討した。その結果、補償効果により前者では1桁、後者では2桁の正孔低減を達成し、最終的に2×10E15 cm-3という極めて低い値と成った。これは、膜中欠陥が少なく高品質なGe薄膜が得られたことを示す。③先ず、n型Si基板上にGeOx下部層を1 nm挿入することで恣意的にエピタキシャル関係を断ち、固相成長Ge薄膜を合成し、太陽電池を試作した。その結果、多結晶Ge薄膜に起因した分光感度スペクトルを得た。すなわち、絶縁体基板上で優れた分光感度を得るには急峻なp/n接合が望ましいことが判明した。本知見を基に絶縁体基板上の固相成長Ge薄膜に立ち返った。リン拡散材を用いて適切なRTA処理を行い、膜表面のみをn型化することで、SiO2ガラス上に合成した固相成長Ge薄膜由来の明瞭な分光感度(15 mA/W)を実証した。全プロセスがプラスチック基板の耐熱温度以下で行える事実は、フレキシブル太陽電池応用へのポテンシャルを充分に示したと考えられる。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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