今後の研究の推進方策 |
昨年度合成法を確立した、ジヒドロ-β-アガロフラン骨格を有する合成中間体から、ハイポニンBの全合成を達成する。また、含ピリジンマクロ環を有する高酸化度アガロフラン類の網羅的な全合成を指向し、位置選択的なアシル化が可能な反応条件を確立する。まず、昨年度確立した合成経路に従い、ジヒドロ-β-アガロフラン骨格を有する合成中間体を大量に合成する。次に、Rubottom酸化によりC9位に酸素官能基を導入した後、続く還元により得られたジオールをアセトニドとして保護する。さらにTBS基の除去とラクトンの還元的開環により、トリオールとする。続いてトリオールをTBSエーテルとして保護した後、四酸化オスミウムを用いた立体選択的なジヒドロキシ化により、C3,4位に酸素官能基を導入し、ハイポニンBの全合成に必要な全ての酸化度を有する化合物を導く。この化合物から、二級TBS基存在下、一級TBS基及び一級TBDPS基を化学選択的に除去し、含ピリジンマクロ環を有する高酸化度アガロフラン類の網羅的全合成に向けた、共通中間体に誘導する。続いて、別途合成した含ピリジンマクロ環フラグメントであるエボニン酸を用いて、マクロ環化を検討する。含ピリジンマクロ環フラグメントの連結後、一級ヒドロキシ基のフラノイル化、続くTBS基、MOM基、アセトニド基の除去、アセチル化を経て、ハイポニンBの全合成を達成する。さらに共通中間体に対し、置換基の異なる含ピリジンマクロ環フラグメントの連結を行う。また、その後のC1,2,6,8,9,13位の6つの酸素官能基が区別可能な脱保護及びアシル化の条件を種々検討することで、含ピリジンマクロ環を有する高酸化度アガロフラン類の網羅的な全合成を行う。
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