研究課題/領域番号 |
19J21103
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
藤原 恭司 鹿児島大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | 分類 |
研究実績の概要 |
本年度の研究成果として、ミサキウバウオ属に関して多くの新知見が得られた。まず、本属に2未記載種が含まれていることが明らかになった。1種は南日本からのみ標本が得られており、すでにミナミウバウオLepadichthys trishula Fujiwara, Hagiwara and Motomura 2020として新種記載された。本種は鰭の鰭条数などの特徴に加え、頭部に白色線が3本あることで同属他種から識別される。この新種記載論文ではミナミウバウオに以前適用されていた南アフリカ周辺に分布するLepadichthys coccinotaeniaについても多数の標本に基づく、詳細な記載を行った。もう1種はフレンチポリネシアから標本が得られており、鰭の鰭条数や鰓耙数などの計数形質に加え、各鰭の形状によって識別できる。この研究過程で長らく、実体が不明であったLepadichthys springeriがミサキウバウオLepadichthys misakiusの新参異名であることも明らかになった。 本属の種レベルの分類学的整理、新知見に加え、ミサキウバウオ属は単系統ではないことが外部形態と骨格など内部形態から明らかになった。ミサキウバウオ属とは別属に帰属させる必要がある種の内、アカスジウバウオLepadichthys akikoとLepadichthys boliniの2種が帰属させるべき属がない未記載属であることがすでに明らかになった。本未記載属は尾部の骨格が大きな特徴で、下尾骨上部と下部が癒合し一枚のプレート状になっていることなどから同科他属と明瞭に識別される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該年度、世界各地の博物館・研究施設に訪問し、研究課題であるウバウオ科ハシナガウバウオ亜科の世界中から得られた標本を調査した。さらに、各種の学名を担う標本も網羅的に調査しており、すでに本研究課題を解決させるための研究基盤が形成されている。これに加え、フィールド調査により標本からだけでは分からない、各種の生態学的知見も得られている。さらに、研究成果について現段階でひじょうに多くの成果が得られている。成果の一部は既に、学会発表・論文出版までこぎついており、昨年の夏にアメリカで開催された国際学会では本研究課題に含まれるミサキウバウオ属の2未記載種を口頭発表した。その後、すでに1種は新種として国際誌に論文が掲載され、もう1種も論文投稿中である。これに加え、現在、ミサキウバウオ属に帰属されているウバウオには未記載属に含まれる種を内包しており、単系統ではないことも明らかになった。これについても既に新属として記載するために必要な外部・内部形態のデータが得られており、現在、論文執筆中である。以上のことから本研究課題への取り組みを開始して、一年足らずで研究基盤の形成はもちろん、ひじょうに多くの新知見が得られており、当初の期待以上の進展がみられた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はミサキウバウオ属に加え、ハシナガウバウオ亜科に含まれるハシナガウバウオ属、ウミシダウバウオ属、およびUnguitrema属について研究を進める。ハシナガウバウオ属は現在、ハシナガウバウオの1種のみが知られているが、本種は他ウバウオ科魚類と比べ、ひじょうに広域に分布しており、隠蔽種が含まれている可能性が高いため、分布域広域から得られた標本で再検討を行う。同時に、成長にしたがう形態変化や雌雄差などについて詳細な把握を試みる。ウミシダウバウオ属とUnguitrema属については、これまでの予備調査によって、同属である可能性が高いことが分かっている。これについて今後、骨学的特徴などを含めた詳細な検討を進めていく。
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