研究課題/領域番号 |
19J21116
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
双 逸 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | 次世代メモリ / 微細化 / 三次元スタック構造 / ダイオード / セレクタ / 窒素ドープ / Ge2Cr2Te6 |
研究実績の概要 |
次世代メモリの超高集積・超大容量化を実現する問題に対して、相変化メモリ構造超微細化と三次元スタック構造の提案が注目されている。三次元スタック構造で、クロストーク電流(他メモリ層への電流リーク)を防ぐため、ダイオード特性を示すセレクタ層が必須である。しかし、複雑な多層化製造プロセスを必要とするため微細化の障壁となっている。現在量産されているPCRAM-3DXpointでは、セレクタ層にオボニックスイッチ材料(材料自身が整流性を示す)が使われているが、Asを含むため将来的には代替材料が必要となっている。それに対し、本研究では、窒素ドープしたGe2Cr2Te6(NCrGT)は、p型半導体であるため、n型半導体(例えばIGZO)と接合する事でダイオード゛を形成でき、革新的な微細構造が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
窒素ドープ型 Cr2Ge2Te6(NCrGT)相変化材料を軸に、新規接触抵抗相変化メモリの創成を目指し、その電気伝導特性やメモリ動作性能について評価を行っている。本年度は、メモリ機能とセレクタ機能を併せ持つNCrGT/IGZO積層型メモリ素子のメモリ及びセレクタ動作性能について検証した。NCrGTは両相共にp型半導体であるため、n型酸化物であるIGZOとの接合による整流性により、NCrGTのアモルファス/結晶相変化に伴う接触抵抗変化によるメモリ機能のみならず、pn接合に起因してセレクタ機能も得られる事を実証した。それら成果は、Scientifc Reportに筆頭著者として論文を発表すると共に、国内外併せて5件の学会発表を行っている。現在、相変化メモリは、次世代不揮発性メモリとして注目を浴びており、更なる性能の進化が期待されているが、高性能なメモリ材料の開発のみならず、それに適応するセレクタ機構の開発が重要となる。本年度の成果は、次世代PCRAM開発に新しい設計指針をもたらすものであり、期待以上の研究の進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
1.NCrGT相変化材料の結晶化挙動について、ラマンスペクトルおよびコヒーレントフォナン状態を測定する。得られた結果に関して、結晶対称性や振動モードを解析して、NCrGTの高速相変化機構の調査を行う。また、NCrGTメモリデバイスを作製して、繰り返し書き換え性能劣化の原因を調査し、優れた繰り返性能実現に向けた調査を行う。2. 昨年度の結果を基に、NCrGT/n型酸化物接合で得られるダイオード特性の向上を目指す。具体的には、接合界面での反応を抑制するため、Cr酸化物よりも安定なn型酸化物の選定を行う。加えで、選定されたn型酸化物とNCrGT間で得られるダイオード特性の評価を行う。
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