研究課題
本研究では、新規相変化材料:Cr2Ge2Te6 (CrGT)のアモルファス相の耐熱性を向上するため、CrGTの結晶化温度(Tx)に及ぼす窒素(N)ドープの影響について取り組んだ。NドープによるTxの上昇はGSTについてもその有効性が報告されており、期待通りNドープ型CrGT(NCrGT)は高いTxを実現する事が分かったが、室温でのアモルファス相と結晶相の間に膜(バルク)抵抗率ρの変化はほぼ存在しないことも分かった。しかし、NCrGT/金属電極間の接触抵抗率ρcを測定した結果、アモルファス相と結晶相には三桁の差が生じる事を見出した。このことは、例え、相変化に伴う抵抗率変化が無くても、相変化に伴って“電極界面伝導機構”に変化が生じればPCMとして利用できる事を示唆する。そこで本年度では、NCrGTのメモリ素子の動作特性を評価すると共に、NCrGT/金属電極界面の微細構造も透過電子顕微鏡(TEM)で観察した。電極界面近傍の非常に限定された領域(10nm程度)のみが相変化している事を確認した。このような相変化領域の極微小化は、動作電力の低減(電圧約1/2)ばかりでなく、メモリ素子の更なる微細化に有利である。また、NCrGTのTxは300℃と高く耐熱性の課題を解決できる。以上のように、省エネかつ大容量を実現する新動作原理「接触抵抗変化メモリ」の開拓に成功した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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physica status solidi-Rapid Research Letters
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