研究課題
これまでに、NiAs/ウルツ鉱型構造間でのMnTe薄膜の多形変化による電気および光学特性変化、それを用いたメモリ動作性能や相変化メカニズム、そして多形変化の進行がキャップ層から受ける機械的拘束の影響を受けることが明らかとなっていた。この機械的拘束は、MnTeとキャップ層との間に生じる熱膨脹差に由来する熱応力であると考えられる。そこで、MnTe薄膜に生じる熱応力を変化させるために、熱膨張係数の異なる材料をキャップ層に用いて、ウルツ鉱型→NiAs型構造への相変化挙動をX線回折により調査したところ、キャップ層によって相変化の温度が異なることが分かった。実際に生じている熱応力の解析を行うために、MnTeの熱膨張係数およびヤング率を測定した。これらの結果を用いて、有限要素法により相変化におけるMnTe薄膜の熱応力分布をシミュレーションしたところ、面内圧縮方向への熱応力が大きいほど相変化温度が低くなることが明らかとなった。この結果は、圧縮応力が大きいほどNiAs型構造が安定化することを示しており、多形変化に伴う体積変化に由来していると考えられる。したがって、MnTeの結晶構造の安定性を応力により制御できることを実証した。このような結果は、基板や電極に用いる材料の選定など、メモリデバイスの設計指針において重要なだけではなく、ひずみ(応力)により材料の物性を変化させる“ストレイントロニクス(歪み電子工学)”への展開も期待される成果である。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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physica status solidi (RRL) - Rapid Research Letters
巻: - ページ: 2100641~2100641
10.1002/pssr.202100641