研究課題/領域番号 |
19J21146
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
今仁 裕輔 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | コーポレートガバナンス / 取締役会 / 企業業績 / 独立社外取締役 / コーポレートガバナンス・コード |
研究実績の概要 |
研究課題「取締役会の独立性が企業業績・企業行動に与える影響」に対して、2020年度は主に以下の2つの視点に基づき研究に取り組んでいた。第1に、企業間で取締役の兼任が確認されるときに、その企業間の行動に対して類似性が観察されるか否かである。第2に、取締役の兼任や財の取引関係といった企業間のコネクションが存在する場合に、ある企業に生じたショックがコネクションを通じて他の企業へと波及し、企業業績に影響を与えるかに関する分析である。取締役の兼任については、2015年施行開始したコーポレートガバナンス・コード以降により頻繁に観察されるようになり、その功罪が議論となっている。特に取締役を兼任することで、兼任先の企業の行動の学習が促されるというメリットが考えられる一方で、特定の企業に対するリソースを割くことが困難となる可能性が指摘されている。分析の結果、(1)企業間で取締役の兼任という形でコネクションが確認された場合でも、企業間の行動に対して類似性は確認されないこと、(2)企業間で財の取引を行うという形でコネクションが確認された場合、このコネクションを通じて金融ショックが波及すること、(3)取締役の兼任というコネクションは、金融ショックの波及の経路とはならないことを確認した。企業間のコネクションとショックの波及に関する研究は、2つの国内セミナー及び2つの海外学会での報告を行った。2021年度は上記のセミナー及び学会から得たフィードバックを基に、論文をブラッシュアップし、査読付きジャーナルへの投稿を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度内に予定していた論文の執筆及び国際学会への投稿については予定通りの進捗を得た。具体的には2つの国内セミナー及び2つの国際学会での報告を行い、有益なフィードバックを得た。一方で、同様に予定していた2020年度内の査読付きジャーナルへの投稿については未だ完了していない。2021年度に引き続き研究を継続し、査読付きジャーナルへの投稿を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に行った研究については海外学会で2回、国内のセミナーで2回の研究報告を行い、様々なバックグラウンドをもつ研究者から有益なコメントを頂いた。学会で受けたコメントを元にブラッシュアップし、2021年度の査読付きジャーナル投稿を目指す。上記の研究と並行して、日本での取締役会改革の帰結がなぜ企業ごとに異なるのかについて、異質性に着目しながら分析を進める。また同分析に必要な役員データについても購入し、データ分析の範囲の拡充を図る。いずれの研究についても国内外の研究者から幅広くコメントを頂きながら研究活動に邁進する所存である。
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