研究課題
*小児白血病の発症リスクに関するゲノムワイド関連解析:共同研究先の米国グループからアジア人のゲノムワイド関連解析結果の提供を受け、これによるreplication studyを行った。全体の結果を英語論文にまとめ、現在投稿準備中である。*胎児期の母体感染症が小児白血病発症に及ぼす影響に関する国際メタ解析:6か国11のグループのデータを元に、母体感染症が小児白血病発症に及ぼす影響のメタ解析を進めている。グループ間でデータ収集様式が異なるため、グループ間のデータ調整を行い、粗解析まで行った。*JCCG小児固形腫瘍観察研究データ未提出に関する検討:データベースの登録率が低いこと、その背景要員を分析し、学会で発表した。論文投稿中である。*新型コロナ流行下における日本のこどもたちの健康と生活に関する調査(コロナ×こどもアンケート):こどもと保護者を対象としたオンライン・匿名調査を実施した。2020年4月から2021年3月までに計5回の横断調査を実施した。調査結果は速やかに報告書にまとめ、社会へ問題提起するとともに、一般の方や教育機関の先生方に向けて重要なポイントを分かりやすく解説した。サンプリングバイアスの限界はあるものの、流行初期よりタイムリーにこどもたちの健康と生活の実態を調査し公表することに成功したと考えている。本調査のデータを用いた分析を行い、現在筆頭で1本、共著で3本論文投稿中であり、さらに数本投稿準備中である。また、こどもや保護者、こどもに関わる大人に向けて、新型コロナウイルスに関連するお役立ち情報を発信するLINE公式アカウントを運営し、2020年5月より現在まで毎週情報発信を行っている。さらに、本研究に関連し、全国二段階無作為抽出で小学5年生・中学2年生計約3000人とその保護者を対象とした郵送調査を実施した。本データについては解析を終え、現在論文投稿準備中である。
2: おおむね順調に進展している
博士課程進学時より取り組んでいるゲノムワイド関連解析については、連携している研究者の都合で論文化の段階でやや進展が滞っている。対面でのグループ・インタビューを行っていた研究(小児がん経験者の心理社会的課題の抽出と評価)は、新型コロナウイルス感染症流行の影響を受けて進展が滞ってしまった。一方で、新たに自ら着眼・発想した研究をいくつか開始し、一定の成果を出せているため、総合的には順調に進展していると考えている。(JCCG小児固形腫瘍観察研究データ未提出に関する検討、新型コロナ流行下における日本のこどもたちの健康と生活に関する調査など)
ゲノムワイド関連解析については、連携研究者と密に連絡を取りながら確実に論文化へ進めたいと考えている。小児がん経験者の心理社会的課題の抽出と評価については、今年度も対面でのインタビュー再開は困難と考えられるため、調査を打ち切り、これまでに収集したデータで解析を行う予定である。新型コロナ流行下における日本のこどもたちの健康と生活に関する調査については、前年度に行った調査結果を論文にまとめながら、今後は自治体と密着することによりより実態にせまった、また社会実装を見据えた研究を推進していく予定である。その他の研究についても論文化を進める。
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https://www.ncchd.go.jp/center/activity/covid19_kodomo/index.html