研究課題/領域番号 |
19J21207
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
梶浦 大起 広島大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | association scheme / difference set / quasi-Monte Carlo / QMC / block design |
研究実績の概要 |
本年度は,研究計画の②「その尺度によるQMC的点 集合がどのような組合せ論構造によって特徴付けられるか?」に対して大きな進展があった。有限可換群において,とある評価尺度を定めることで「difference set」と呼ばれる古典的によく知られている組合せ論構造で特徴付けることが可能であることを発見した。また,それを推し進めて,非可換有限群や可換association scheme上にdifference setを真に含むクラスで特徴付けた。これはdifference setのQMC的な視点によるある種の一般化となっている。
また,その結果と関連して有限等質空間に自然に定義されるassociation schemeについて,difference setの古典的な結果である「群軌道で生成される(対称)2-designとdifference setが対応する」という結果を我々の定義したdifference setの一般化に於いて類似の定理を証明することに成功した。これについては論文制作中である。
最後に①「QMC的点集合はどのような部分集合であるか?」という問いに対して,GAPなどのプログラミング言語を用いて位数16の有限群にたいして(同型類をのぞいて)その「difference setの一般化」を全て列挙することに成功した。特に位数16の正二面体群D_8については,古典的な意味でのdifference setが存在しないことは有名な結果であるが,我々の意味で一般化したdifference setは存在することを示した。さらにassociation schemeに対しても5点集合の2元部分集合族のなすassociation scheme J(5, 2)についてもコンピュータを用いて完全に列挙し,J(5, 2)に作用する群によって分類することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「QMC的点集合」の構造について,当初の計画である他の組合せ論構造との指摘を超え,その構造の一般化と考えうるような良い振る舞いなど,より深い部分について強い理解を深めることができたためである。
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今後の研究の推進方策 |
これからは最終年度における研究を見据え,difference setなどのこれまでの研究の蓄積や近隣分野,またそれ以外の研究内容についても焦点を定め今回発見したdifference setの応用例について考察していくことを目標にする。また,他には今回定義したdifference setの一般化が,どの程度自然な一般化になっているのか?という部分に関しても考えていくことができれば望ましいと考えている。
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