現在、ニュートリノには3種類のフレーバーが存在すると広く考えられており、これらのフレーバーが時間とともに変化するニュートリノ振動は、実験によりその存在が確かめられている。真空中のニュートリノ振動の挙動が理論的によく理解されている一方、超新星のような高密度のニュートリノが存在する環境下のニュートリノ振動は、自己相互作用によって非線形で複雑な挙動を示すと考えられており未だ解明されていない部分が多い。このようなニュートリノ振動は超新星爆発のメカニズムや観測されるニュートリノシグナルに影響を与えうるため、その振る舞いは詳細に解明されなければならない。 当該年度においては、本研究課題を通して以前に提案した超新星の衝撃波上流で発生しうるニュートリノ振動について、具体的なモデルを用いて数値シミュレーションを行い論文としてまとめた。 また、超新星コアにおいてニュートリノ振動を誘起する主要な不安定性であると考えられる高速ニュートリノフレーバー不安定性の発生条件を数学的に厳密に解明した。 近年、ニュートリノ振動の発展方程式において多くの場合に無視されていた衝突項の影響が注目を集めている。この衝突項を小さな計算コストで正確に計算するためにはモンテカルロ的な解法が有効であると考えられる。このモンテカルロ的な解法を実装することで、衝突項を考慮したニュートリノ振動の数値計算コードを開発し、簡単なテストケースについて実際に計算を行った結果を論文としてまとめた。
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