昨年度は太陽表面のうち地球から見える側(太陽表側)で発生した太陽フレアにおけるニュートリノ発生時刻を太陽観測衛星の情報を元に推定し、太陽フレア由来のニュートリノ探索のための時間を決定した。またその手法についての論文が受理され論文雑誌に掲載された。本年度は、その論文の内容をもとに太陽フレアニュートリノ探索をスーパーカミオカンデの1996年から2018年までのデータを使って行った。対象となるフレアは太陽表側の23フレアと太陽裏側の10フレアだったが、太陽表側の3フレアと太陽裏側の2フレアについてはスーパーカミオカンデが稼働していない期間に起きた太陽フレアだったため探索ができなかった。残りの20フレアと8フレアについては太陽フレアニュートリノ探索を行ったが、表側で2イベントのニュートリノ候補事象、裏側で6イベントのニュートリノ候補事象が得られた。期待されるバックグラウンド事象は太陽表側のフレアについては約0.3イベント、太陽裏側のフレアについては4.96イベントであり、有意なニュートリノ事象の増加は得られなかった。スーパーカミオカンデ実験はニュートリノイベントの角度を再構成することができるので太陽方向との相関も調べた。本年度は、これらの結果を博士論文にまとめ報告した。また、雑誌への投稿論文はAstro Physical journalをターゲット論文雑誌として執筆し5月から6月に提出予定である。
|