研究課題/領域番号 |
19J21455
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐宗 若奈 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | B型肝炎ウイルス / HBV / NTCP / 細胞侵入 / Gタンパク質共役受容体 |
研究実績の概要 |
B型肝炎ウイルス(HBV)は、感染レセプターであるNTCPに吸着後、多段階的な制御機構により細胞内へ侵入すると考えられるがその詳細な機構は不明である。申請者はHBV感染感受性に影響する因子としてホルボールエステルおよびadhesion型Gタンパク質共役受容体(aGPCR)を得た。今後の解析でホルボールエステルの標的因子を特定し、この標的因子あるいはaGPCRのHBV侵入過程における役割を解析することで新たなHBV侵入制御機構を明らかにする。さらにこれら因子がHBV感染の組織・種特異性に寄与するか否かを評価し、HBV宿主域決定への意義を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請者のこれまでの研究により、adhesion型G蛋白質共役受容体ファミリーの一種はsodium taurocholate cotransporting polypeptide (NTCP)の細胞内局在を制御しており、B型肝炎ウイルス (HBV)はこの制御機構を利用して細胞進入している可能性が示唆された。これまで、HBVが細胞内へどのようにNTCPを利用して進入を果たしているのかについてはほとんど理解されていない。加えて、NTCPがどのようなメカニズムによりその局在が制御されているかについても多くが不明である。本研究で得た知見はこれらの疑問を解決する上で有益であると考えられる。以上のように次年度以降の研究の発展性が期待される点で順調に進展したと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果として、HBV進入機構に関与する新たな宿主因子EGFRのエンドサイトーシス機構がNTCPを介したHBVの進入・内在化に重要であるという知見を得た。これらの新たに明らかになったHBV進入機構を手がかりにし、今後はHBVの内在化以降の過程を観察・定量するための解析系を構築する予定である。また、adhesion型G蛋白質共役受容体ファミリーの一種(aGPCR)はNTCPの細胞内輸送・局在を制御することが示唆された。今後はaGPCRのNTCP局在制御に重要と考えられる領域のアミノ酸を置換した変異体を用いてHBV感染を評価することで、aGPCRにおけるNTCP局在制御の責任領域を明らかにする。
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