研究課題/領域番号 |
19J21493
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小島 拓也 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | CGRA / 再構成可能デバイス / TCI / チップ間無線通信 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
本研究は粗粒度再構成可能デバイス(CGRA: Coarse-Grained Reconfigurable Architecture)とチップ間通信技術TCIを組み合わせることで、多種多様な用途に対応可能となるシステムの構築を目指す。 本年度は、昨年度に開発した積層システム向けのシミュレータの改良、機能拡張を重点的に行った。その結果として、機械学習向けアクセラレータなどCGRA以外のアクセラレータが積層されたシステムのシミュレーションも可能となった。さらに、GDBによるデバッグ環境や評価用アプリケーションのコンパイル環境を整備した。これによって、評価用アプリケーションの拡充を実現した。開発したシミュレータを用いて、キャッシュの構成やTCIの転送バンド幅などの設計探索を行い、よりエネルギー効率に優れるシステム設計を示すことに成功した。この成果を論文にまとめ、学術論文誌への掲載が決定した。 さらに、積層したシステムに存在する複数のCGRAに対して効率的にアプリケーションを割り当てるための、タスク分割手法に関する研究を開始した。CGRAにおけるアプリケーションは一般にデータフローグラフで表される。この特徴を適切に取り扱うために、グラフ構造向けの機械学習モデルDGCNN(Deep Graph Convolutional Neural Network)を採用し、効率的な最適化手法を提案した。この研究内容は国内の研究会で報告を行い、現在論文誌へ投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度は、本研究課題を遂行するにあたり必須となる各種フレームワーク、土台となる手法などの考案に尽力し、計画以上の進捗を得た。これが基となり、本年度も当初の予定以上の進捗を達成することができた。特に、タスク割り当ての最適化手法は非常に困難な問題であると予想されていたが、近年注目を集めている機械学習の技術を取り入れたことにより問題解決の時間を大幅に短縮できた。昨年度と同様に、研究会、学術論文誌における成果報告も継続して行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に考案したタスク割り当て手法と拡張したシミュレータを組み合わせ、システム全体の最適化、より広域的な設計探索を実施する予定である。また、より効率的なCGRA単体の設計を探索するための手法、フレームワークの開発に着手し始めており、継続してこれにも取り組んでいく。
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