本研究は粗粒度再構成可能デバイス(CGRA: Coarse-Grained Reconfigurable Architecture)とチップ間通信技術TCIを組み合わせることで、多種多様な用途に対応 可能となるシステムの実現を目指した。 本年度は、昨年度に着手し始めたグラフ構造向けの機械学習モデルDGCNN(Deep Graph Convolutional Neural Network)を用いたCGRAアプリケーショングラフの効率的なアプリケーション割り当て手法の研究を引き続き行なった。高い有効性が確認され、この成果は学術論文誌に掲載された。 さらに、積層された複数のCGRAコアを活用するには、新たなプログラミングモデルが必須となる。本研究ではこれを成し遂げるために、CGRA向けOpenMPコンパイラの開発を行なった。CGRAはIoTデバイスやHPCなど幅広い分野で応用が期待されており、各々の用途で異なるアーキテクチャ上の特徴をもつ。故に、コンパイラフロントエンドに期待される最適化などの振る舞いもそれぞれ異なる。本研究で開発を始めたコンパイラはアーキテクチャに非依存な部分とアーキテクチャに特有の処理を分けて実装が可能で、さまざまなアーキテクチャへの対応が容易である。これは現時点で予備評価段階ではあるものの、すでに国際ワークショップでの発表が決まっている。このコンパイラは今後のCGRAに関する研究おいて重要な技術であり、今後はこれを活用し研究を発展させていくことが肝要である。
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