令和2年度は、低消費電力で高速な波長選択光スイッチ(WSS: Wavelength Selective Switch)の実現に向け、1)20チャネル 2 × 2 ハイブリッドWSSのレンズ系設計、2)石英アレイ導波路回折格子 (AWG: Arrayed Waveguide Grating)を用いたハイブリッドWSSの伝送実験、3) シリコン集積型WSSの新規設計や動作実証を行った。1)前年度に作製したシリコン光回路を用いた、200 GHz間隔20チャネル2×2 ハイブリッドWSSの自由空間光学系の設計を行った。さらに設計した構成において数値解析を行い、チャネル波長での平均挿入損失12.1 dB、最小消光比66.3 dBの特性を得た。2)作製したシリコン光回路の特性やハイブリッド構成での光結合方法を確認するため、波長合波器に石英AWGを採用してWSSを構成し、10Gbpsの光変調信号の符号誤り率評価を行った。実験結果については査読付き論文誌に投稿予定である。3)ハイブリッド型WSSに加えてシリコン光回路の拡張性の高さを示すため、200GHz間隔16チャネル1×4 波面制御型WSSの設計・試作を行った。波面制御構成は損失の原因となる導波路交差を含まない構成である。チップサイズは5 mm×10 mmと小型であり、数値解析においてチャネル波長での平均損失8.6 dB、 平均消光比35.7 dB、最大クロストーク-31.4 dBの特性を得た。さらに、作製した200 GHz間隔 20チャネル 1×2 Fold-back型WSSの動作確認を行った。Fold-back型は導波路交差を低減した構成である。平均消光比10.9 dBでの動作検証に成功し、実験結果に加えて動作原理や設計方法、拡張性について査読付き論文誌Journal of Lightwave Technologyに掲載されている。
|