研究課題/領域番号 |
19J21897
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金子 直嗣 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | 運動イメージ / 運動観察 / 歩行 / 脊髄 / 大脳皮質 |
研究実績の概要 |
本研究は,歩行動作を客観的に観察する「歩行観察」と脳内で自分が歩いていることを想起する「歩行イメージ」の神経機構を明らかにすることを目的としている。さらに本研究では,歩行観察と歩行イメージを併用した時の神経活動の変化に着目している。当該年度は以下2点を実施した。
歩行観察とイメージの併用が脊髄運動ニューロンの興奮性にどのような影響を与えるのか調べた。これまでの研究で,歩行観察とイメージを併用することにより,脊髄運動ニューロンの興奮性を増大することを示した(Kaneko et al., 2018 Neuroscience Letters)。従来の手法では脊髄運動ニューロンの興奮性は単一筋から評価する。しかし,本研究では経皮的脊髄刺激法を採用することで,複数の下肢筋から脊髄運動ニューロンの興奮性を評価することができた。この手法を用いることで,歩行観察と歩行イメージの併用による脊髄運動ニューロンの興奮性の促通効果が下肢筋間で異なることを示した。この研究成果は,英科学誌Brain Sciencesに掲載された。
脳波計測機器を用いて,歩行観察と歩行イメージの併用時における大脳皮質の活動を調べた。予備実験の後に本実験を行い,12人分のデータを測定した。脳波解析の結果,大脳皮質感覚運動野において興味深い結果が得られた。歩行観察と歩行イメージの併用は,感覚運動野において立脚や遊脚といった歩行位相に関連する脳活動の変調を惹起することが示された。また,これらの脳活動は,先行研究において報告されている歩行中の脳活動と高い関連性を示した。この結果は,運動の観察とイメージの併用がより実動作と関連した脳活動を惹起できることを示唆している。この研究成果について現在論文執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1) 歩行観察とイメージにおける脊髄運動ニューロンの興奮性の変調について明らかにした論文が掲載された。 2) 歩行観察と歩行イメージの併用時における大脳皮質の活動について調べる研究では,実験と解析がほぼ完了している。 以上2点から,おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
歩行観察と歩行イメージの併用時における大脳皮質の活動についての論文を完成させて国際誌へ投稿する。2020年度内の受理を目指す。また,次の段階として,脳波情報から機械を操作するブレインマシーンインターフェースの準備を行う。具体的には,プログラミングを習得して,歩行の観察,イメージ時の脳活動から機械を操作するアルゴリズムの完成を目指す。
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