研究実績の概要 |
令和元年度の研究で、非エルミート物理における対称性とトポロジーを記述する理論的枠組みの構築に成功した。とくに、非エルミートなトポロジカル相を内部対称性にもとづいて包括的に分類する一般理論を構築した。これらの結果をもとにして、令和2年度は、非平衡開放系における空間対称性の役割について研究した。とくに、回転対称な非エルミートな2次元系で、あたらしいトポロジカル結晶相とそれにともなう局在現象を発見し、高次表皮効果と名付けた。非平衡開放系における空間対称性の役割は、これまでほとんど理解されておらず、本研究結果は、その理解を導き、あたらしい研究を切り開くものである。また、本研究で理論的に提案された高次表皮効果は、スペイン・フランスのグループによるアクティブ粒子の実験 [L. S. Palacios et al., Nat. Commun. 12, 4691 (2021)]、ならびに中国のグループによる音響媒質の実験 [X. Zhang et al., Nat. Commun. 12, 5377 (2021)] において検証され、新しい動的制御の指針を与えるものとして、実用的な応用も期待される。
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